●一般質問「後期高齢者医療制度等について」(2008年6月12日) 橋本しげき
◯3 番(橋本しげき君)  今回私は、後期高齢者医療制度について、学校給食について、事務事業・補助金見直しの進め方についての大きく3点の質問をいたします。

 まず、大きな1点目に後期高齢者医療制度についてです。

 国会では、日本共産党など野党4党が提出した後期高齢者医療制度の廃止法案が参議院で可決されました。日本共産党は、参議院に続いて衆議院でも廃止法案が可決され、成立するように全力を挙げる決意です。

 4月から始まった後期高齢者医療制度に対する怒りは、広がるばかりです。4月15日には、年金天引きが始まりました。世論調査でも、この制度を評価しないという方が7割以上もいます。6月8日に投票が行われた沖縄県議選では、自民・公明の与党が16年ぶりに過半数を割り、後期高齢者医療制度に対する怒りの声が示されました。

 私はこの間、制度の中止・廃止を求める署名のお願いにまちを歩いていますが、怒りの声があちこちで聞かれます。例えば、今まで一生懸命働いてきたのに、何でこんなことになるんだとか、国民の命を粗末にする国に未来はないとか、小泉構造改革の痛みが今出てきた、だまされていたなど、怒り噴出です。そして、年寄りは早く死ねと言うのかと訴えながら署名する方など、制度の廃止を求める声は、高齢者だけでなく、年齢を超えて広がっております。最大の問題は、年齢だけで医療を差別するという、世界に例のない制度そのものにあります。75歳以上を後期高齢者と決めつけ、別の制度に囲い込み高い負担を押しつけ、必要な検査や治療を受けにくくする差別医療を押しつけるという制度の根本が間違っているのです。

 後期高齢者医療制度は、存在すればするほど国民を苦しめるというとんでもない制度です。福田自・公政権は、制度は残したまま、2年間の減額や先送りで国民の怒りをかわそうとしています。しかし、後期高齢者医療制度は、2年ごとに保険料が自動的に上がっていく仕組みになっています。団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、保険料が2倍以上になると言われています。政府・与党の見直し案では、2年後に大幅な値上げが待ち受けています。こういう制度は廃止しかありません。しかも、厚生労働省はこれまで所得の低い人の保険料が下がる傾向で、所得の高い人の保険料は上がる傾向と言ってきました。しかし、厚生労働省が行った実態調査でも、所得の低い人ほど保険料負担が重くなることが明らかになりました。東京では、56%の世帯で以前と比べて保険料が上がっています。

 こうした現状が明らかになり、マスメディアでもこれまでの国の説明と逆の結果と一斉に報道しました。例えば緑町の都営住宅に住むある方は、夫婦世帯で国保税が2万600円だったものが、後期高齢者保険料は4万8,100円と、2倍以上に上がっています。武蔵野市でも、所得の低い方の負担がふえています。しかも、先ほどの厚生労働省調査では、モデル世帯から最も負担増になる、ともに75歳以上の夫婦と子ども夫婦などの世帯構成、約2割おりますが、これをあらかじめ除外するなど、実態を反映しない調査方法でした。ですから、保険料が上がった世帯は実際はもっと多いのです。国民に虚偽の説明までして強行した制度は、廃止し、出直すべきではないでしょうか。

 政府・与党は、廃止は無責任だと言っています。しかし、小泉内閣時代に後期高齢者医療制度を強行したのは自民党と公明党です。多くの国民から怒りが噴出している制度を強行しておきながら、廃止は無責任だなどと言うのは、開き直り以外の何物でもないと思います。また政府・与党は、廃止後の財源はどうするのかと言いますが、道路特定財源や大企業への行き過ぎた減税や米軍への思いやり予算などを見直せば、医療や介護の財源は十分に賄えます。逆にこうしたことに指一本触れないできて、財源と言えば消費税増税を持ち出すやり方こそ許せません。

 そこで私は、この後期高齢者医療制度について以下の質問をいたします。

 1つ目の質問です。きのうの市長答弁では、制度が始まってから15日間で市への苦情、問い合わせが574件で、最も多かった意見が保険料が高いという声だったとのことでした。制度が始まった今、市民のこうした声を踏まえて、この制度についての市長の見解を伺います。

 2つ目の質問です。世界にも例がなく、75歳以上という年齢で区切ることへの怒り、際限なく上がり続ける保険料、うば捨て山と言われるような医療差別など、この制度には多くの問題点があります。市長は、ぜひ市長会などでさらに意見を言って、改善させることに全力を挙げるように求めます。

 3つ目の質問です。野党提出の廃止法案では、10月までにとる緊急措置として後期高齢者保険料の年金天引きの中止、保険料負担の軽減、サラリーマンの被扶養者の保険料徴収の中止の3つを盛り込んでいます。さらに、来年4月から実施が予定されている70から74歳の窓口負担2割の中止、65歳から74歳の国保税の年金天引き中止を盛り込んでいます。これらは、多くの国民が願っていることだと思います。市長は、ぜひ国にこれらを求めてください。

 4つ目の質問です。葬祭事業は、自治体任せになっています。葬祭事業は、東京で統一金額の助成を行うように求めてください。

 5つ目の質問です。これだけ制度の問題点が明らかになってきた以上、もう制度を中止・廃止するしかないと思います。制度そのものを中止・廃止するように国や都に意見を上げることを求めます。

 大きな2点目に、学校給食についてです。

 市民の長年の願いである中学校給食がいよいよ今年度から始まります。市長は、安全で質の高い給食を維持すると述べており、その観点から中学校給食を充実したものにしていくことが必要です。この後、大きな3点目の質問にも関連しますが、安全で質の高い給食の提供を維持しつつという留保をつけながらも、事務事業・補助金見直し委員会は小学校給食を委託化の対象にしています。私は、委託化と食育としての安全で質の高い給食は両立しないと考えています。今、食育の大切さが強調されていますが、武蔵野市の学校給食は、素材からの手づくり給食、洋風献立の偏りを避け、和風献立を取り入れている、行事食を取り入れるなど、献立に工夫が凝らされています。また、調理でも化学調味料は使用せず、だしは削り節、煮干し、昆布、鳥がら、豚がらを使用するなどしています。食材は、国内産で低無農薬のものを使い、遺伝子組みかえ食品は使っていません。このような学校給食は、武蔵野市の誇りにするところだと思います。

 こういう学校給食が実現できているのは、なぜでしょうか。私は現場の調理員の方々にお話を伺いました。大量の給食を、例えば餃子の皮やカレーのルーなど、素材から手でつくるのは大変手間のかかるものです。それを限られた時間でつくり上げていくには、熟練した技術と同時に、子どもたちにおいしくて安全な給食を食べさせたいという熱意がなければできないということが私はよくわかりました。私は、身分の安定している職員だからこそできることだと思います。調理員の努力や教育の一環としての食育の大切さを理解している調理員の意識の高さ、これが武蔵野市の質の高い学校給食の背景にあると思います。調理員の皆さんが、新しい人が来ても技術がきちんと継承されるように、集団として大きな努力をしていることもよくわかりました。

 民間委託の場合、人件費にしわ寄せが行きますから、調理員が安定しなくなるか、調理の量が少なくなるかになります。このことで調理時間がかかると、早い時間帯から調理するようになったり、安全性や質が低下してきます。委託先からは、手間のかからない調理法にするように求められるようにもなるでしょう。法律で栄養士が調理場に入れないことになっていますから、指示どおりの調理方法がとられる保障もなくなります。民間企業はもうけ第一の論理で動きますが、公務員は憲法第15条でも定められているように全体の奉仕者です。動いている論理が全く違います。そういう全体の奉仕者としての自覚を持った集団として、教育の一環としての学校給食が運営されている。私は、現場の方々の話を聞いて、それを痛感いたしました。

 そこで私は、中学校給食でも小学校給食同様に今の給食の質を維持していくべきだとの観点から、以下の質問をいたします。

 1つ目の質問です。学校給食を進めていく上で、食育の大切さや子どもの健康、将来について、市長及び教育長はどのように考えているでしょうか、見解を伺いたいと思います。

 2つ目の質問です。武蔵野市の安全で質の高い給食に対して、市職員である調理員が果たしている役割について、市長の認識を伺います。

 3つ目の質問です。調理員の大量退職が続く一方で、中学校給食が始まります。武蔵野市の安全で質の高い給食を維持するためには、調理員の系統的・計画的な育成と配置が必要です。世代のバランスを考えて、計画的に新規の調理員の採用、配置を行うことを求めます。

 4つ目の質問です。コスト削減を名目に、各地で民間委託が行われております。民間委託によって労働条件が悪化して、調理員の入れかわりが激しく定着しない、給食の質が低下するなどの問題が起こっております。例えば兵庫県稲美町では、学校給食が民間委託化された結果、みその分量2キログラムを2袋と間違えただとか、うどんにナイロンが入っていたなど、さまざまな問題が起こって、2006年の町長選挙で学校給食の民間委託問題が最大の争点となりました。町民の世論の広がりの結果、民間委託を強行した現職町長が落選し、直営に戻りました。また別の例では、ことし4月に民間委託されたばかりの埼玉県の学校給食で、給食内にガラス片が混入するという事故が起こっております。このようにコスト削減で安全性がおろそかになることは、絶対にあってはなりません。コスト削減だけで武蔵野市の給食を考えることは、当然よくないと考えます。市長の見解を伺いたいと思います。

 次に、大きな3点目に事務事業・補助金見直しの進め方についてです。

 事務事業見直しについて、3月議会での日本共産党の代表質問で、市長は市民サービスを決して下げない、これが大前提。営利追求ではなく、安全性、そして福祉の向上を重視するという立場を十分に配慮していきたいと答弁しております。また、5月19日の総務委員会では、事務事業・補助金見直しについての経過報告がありました。今後の進め方としては、例示53事業について7月上旬をめどに、すぐに対応できるもの、そして中長期の検討・対応を要するものに仕分けを行う。すぐに対応できるものについては、原則平成21年度予算編成において所要の措置を行うよう準備を開始する。また、一部事務事業について、可能なものは平成20年度中に対応を行うとされています。例示53事業のうち、例えば利用登録自転車駐車場運営については、受益者負担の適正化を検討すべきものとして既に値上げが行われてしまいました。市民によく知らされないうちに市民負担の増大や市民サービスの低下が決められてしまうとすれば、大変なことになります。示されたスケジュールでは、この6月にも各部課ヒアリングを経て、7月に来年度予算の概算要求に取りかかることになっています。

 例示53事業は、市民生活にとって重要なものが多く含まれています。先ほど質問した学校給食のほかにも、公立保育園、図書館の管理などをアウトソーシング、いわゆる外部化によって営利企業への委託が行われれば、コスト削減、もうけ第一の論理によって、質の低下や官製ワーキングプアの問題も生じるおそれがあります。市民生活に重要な影響が及ぶおそれのある事務事業の見直しについて、市民が主役の明確な立場に立って進めていくために、以下の質問をいたします。

 1つ目の質問です。地方自治法第1条の2では、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とすると明記されております。事務事業の見直しについては、コスト削減ありきではなく、この立場で進めるべきだと思いますが、市長の見解を伺います。

 2つ目の質問です。例えば耐震アドバイザー派遣制度について、報告書の2次評価では、この制度をやめて、既存の一般診断に対する助成に本事業予算を充当した方がよいとしています。しかし、5月の建設委員会の行政報告では、この制度をもっと活用することになっています。このようにコスト削減から出発するのと、市民サービスを充実させる立場から出発するのとでは全く結果が違ってきます。市民サービスを決して下げないという観点から対応することを求めます。

 3つ目の質問です。市民が主役の市政の立場から、当事者である市民の参加と合意のもとで進めるという姿勢が必要です。私は、例示53事業で挙げられている幾つかの事業について担当職員に聞く中で、報告書が出て初めて見直し対象になっていることを知ってびっくりしたという声がありました。また、ほとんどの市民にはまだ知られていないと思います。例示53事業の関係者やサービス利用者に対し、見直しの対象になっていることを知らせ、当事者の意見をよく聞く機会を設けることを求めます。

 4つ目の質問です。事務事業の検討段階で、調査内容、議論内容を議会にきちんと報告し、市議会の意見を反映させる場を設けることを求めます。

 以上、大きく3点について、市長及び教育長の答弁を求めまして、私の一般質問を終わります。

◯市 長(邑上守正君)  それでは、橋本議員の御質問に順次お答えしてまいります。

 大きく3つほどございますが、まずは後期高齢者医療制度、今回の議員の皆さんからの質問でも極めて多くの御質問をいただいている項目ではないかなというふうに思いますが、改めてちょっと整理していきたいなというふうに思っております。そもそもこの制度につきましては、従来の制度が極めて厳しい状況下にあるというようなことから、今後、国民皆保険制度の存続のために医療制度自体を改革していくんだというようなことでございますので、その限りにおいて、私もその必要性は認識しているところでございます。しかし、この制度に関しましては、高齢者のみをまとめた制度ということで、当初から健全な制度運用が果たしてできるのかどうかといったようなことと、スタートするとしても大変困難ではないかなということは予想しておるわけでございます。そもそも保険というのは、相互に助け合うのがそのシステムの基本でございまして、今回は主として、表現は不適切かもしれませんが、助けられる側、給付を必要とする人が多い人たちだけを集めた保険制度は、到底これは自立し得ないのではないかなというふうに思うところであります。

 さて、個々の課題を見ますと、そもそも本来の保険料が高いと言われていますけれども、もっと当初は高い設定でございました。東京都後期高齢者医療広域連合が中心となりましてさまざまな補助を取り入れて今回の保険料といったような設定になっておりますが、この東京都の補助も期間限定ということもあるので、さらに今後の行く末は、保険料についてもかなり高くなっていかざるを得ないということも予想されるわけでございます。さらに、後期高齢者の人口そのものも今後ふえてまいりますので、負担に関して申しますと、これは極めて厳しい状況になってくるというふうに予想されるわけでございます。

 幾つかの課題の中で保険料の徴収方法が指摘されております。運用する立場から申しますと、自動的に引き落とすシステムというのは、これは非常にコストがかからないで、極めてやりやすい仕組みではございます。コストがかからないというのは、これは保険料にははね返っていかないということで、私は一定の考え方だなというふうに思うところでございますが、今回多くの人が課題だと御指摘される背景には、年金そのものへの不信感というのがありまして、その上にその年金から自動的に引き落とされるということが事前に十分な説明がなかったということからも、反対の声、心配の声を上げられているのではないかなというふうに思っております。

 さらに、昨日も申しましたけれども、保険料算定の根拠は基本的には個人ベースでありますが、医療費などの負担については一部世帯ベースであるとか、極めてさまざまな複雑な制度になっていることから、非常にわかりにくいといったようなこともこの制度の大きな課題ではないかなというふうに認識しているところでございます。

 現在、国会では、野党による廃止法案、そして与党による見直し制度案といったような形で提出されているわけでございますが、考えますに、それぞれの提案も現場の自治体の声を本当に聞いているのかなといったようなことをぜひ私は申し上げたいなというふうに思っております。大変苦労して運用に一生懸命頑張っている現場の声を間接的に眺めながら、市民の声を間接的に拾いながらの議論ということを私は感じておりまして、昨日、ある議員からも政争の具になっているのではないかといったような指摘もありましたが、私もそのような感じがしておりまして、本来あるべき制度に向けた議論がなされていないのではないかなというふうに思っております。国会の場では、もっと建設的な議論をぜひしていただきたいというふうに思うところでございます。

 さらに、廃止にしろ、見直しにしろ、これはますます現場での混乱というのは避けられないなというふうに思うところであります。一時的なその場しのぎのために自治体の体力を消耗したくはございません。その分をむしろ福祉や市民サービスに振り向けた方がよいのではないでしょうかといったような基本的な考え方のもとに、御質問に対して答えていきますが、1番の市長の見解は以上のとおりでございます。

 2番目の市長会を通じて改善させることに全力を挙げよということでございますが、当然、市長会でも今後議論されることになりますので、それぞれの自治体で運用しておるわけでございますので、そういう課題を出し合って制度改善に向けた検討提案をしていきたい、このように考えます。

 3点目は、現在の趣旨からすると、廃止法案を後押ししろといったような趣旨かと思いますが、私は一時的な取り組みについては積極的な考えではございません。むしろ、将来的には一本化方式に向けた道筋を示すよう国に求めていくべきではないかなというふうに考えております。

 4番目の葬祭事業の問題でも、東京都後期高齢者医療広域連合では、保険料の抑制を目的として葬祭事業の実施を市区町村の判断に任せた経過もございまして、全体で実施するとなると保険料の増加要因にもなりかねませんので、これは慎重な検討が必要だというふうに思います。さらに、全体の保険料がどこまで抑えられるかによるのではないかなというふうに考えるところであります。

 最後に、中止・廃止を求めろといったようなことでございますが、今申し上げましたとおり、中止すべきという怒りの声は大変理解するものではございますが、もう少し将来を見越した制度改革への道筋をぜひ国に求めていくべきだというふうに考えております。

 続きまして、学校給食に関するお尋ねでございます。

 さまざまな議論があり、検討があり、ようやくこの秋から一部の中学校で給食がスタートするということで、私は大変うれしく思っておりますが、従来から小学校給食で大変すばらしい学校給食を実施してきたといったようなこともございますので、ぜひその小学校でやってきた給食に負けないような、安心・安全でおいしい、そして食育の観点も加味したすばらしい中学校給食を実施していきたいというふうに思っております。当然地域との連携あるいは地場産の野菜等も子どもたちにもっと食べてもらいたいというようなこともありますが、これは具体的には今、教育の方でも実施に向かって議論いただいているところでございます。もちろん、さきの議会でも質問等いただいておりますけれども、弁当も持参できる新たな武蔵野市らしい中学校給食の実現に向かっていきたいというふうに考えるところでございます。

 その上で、食育の大切さということでございますが、当然のことながら、今回、中学校給食、単に給食を提供するというだけではなくて、大いに食育の観点を持つべきと、私もそういう考えでございます。平成17年度に制定されました食育教育法では、食育を生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置づけております。食に関する知識、食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることを求めているわけでございますので、中学校給食の実施を契機に、改めて中学生の食の理解を深めて、正しい食習慣づくりなどにぜひ大いに取り組んでいきたいというふうに考えるところでございます。

 次に、市職員である調理員が果たしている役割についてということでございますが、小学校給食の実施状況を見ましても、学校給食は技能労務者としての調理員の技能によっても当然支えられてきたと認識してございます。調理というのは一定の技能を必要とするものでございまして、特に本市のように手づくりで質の高い給食を提供するには、より熟練した技能が求められますが、今まで市職員の調理員がそれを担ってきたというふうに認識してございます。さらに、調理員が1年生のクラスを訪問したり、そこで調理場の紹介をしたり、あるいは調理場での調理実習を実施したりと、食育の推進にも今までも関連してきたという点も評価されるべきではないかなというふうに思っております。

 しかしながら、調理員の採用・配置に関しましては、一方では給食調理を含む技能労務系職員の給与という面で考えますと、なかなかこれは課題があります。国や東京都、民間と比べまして高い水準にありまして、本年度、東京都並みの水準へ是正いたしましたが、国や民間同業種との均衡から、引き続き給与水準の是正が求められている状況でございます。民間と比較して約1.7倍となります現在の技能労務系職員の給与水準を考慮すると、学校給食の実施方法としてはコストの観点からはかなり課題があるのではないかなというふうに考えております。給食調理職員の採用につきましては、平成19年度から平成21年度までを計画期間とする第4次定数適正化計画においては給食調理の嘱託化を掲げていまして、その方針のもとでふやさないという形になっておるわけでございます。中学校給食の実施体制につきましては、現在、学校給食運営検討委員会を設置して具体的な運営形態の検討を進めておりますので、最終的な運営形態、実施体制につきましては、その結論を待って決定することとなります。

 次に、コスト削減だけで武蔵野市の給食を考えることはよくない、これは当然のことであります。学校給食を考える際には、安全、質、コスト、この3つのバランスが大事だと思っております。特に、昨今の食にかかわる課題を考えますと、安全や質を抜きにしてコストだけで考えられることではないというふうに考えております。

 次に大きな項目として、事務事業・補助金見直しの進め方ということでございますが、提言をいただいております報告書につきましては、あれは提言という形でございますので、あのまま市が実施するというものではないということを再確認したいというふうに思っております。ただ、全般的に申しますと、予算あるいは税収が今後増加する見込みが描けない中では、さらに増大するさまざまな新たな市民サービスがどんどん出てくるわけでございますので、それらに対応するためには、現在の事業あるいは補助金等の見直しをしていくことは、これは必須であります。見直しを進めながら新たな需要に対応して、全体として住民の福祉の増進を図ること、これが基本だというふうに私は考えております。お尋ねの1番目と2番目については、このようなお答えを申し上げたいというふうに思っております。その限りにおいて、全体として市民のサービスの低下をしないんだということをぜひ御理解いただきたいなというふうに思います。

 最後の項目でございますが、例示53事業等の今後の検討につきましては、現在、行財政改革推進本部において見直し案の検討、見直し結果の実施の時期等について、すぐに対応するもの、中長期の検討・対応を要するものに、まずは仕分けを行っているところでございます。5月19日の総務委員会でも御報告しましたとおり、予算事項については最終的には予算案の形で見直し結果をお示ししますが、仕分けをした後、各案件ごとに必要に応じて関係者への周知、委員会等での検討、パブリックコメント、議会報告などを行っていく場合もあると考えております。

 最後に、検討段階で議会に報告、市議会の意見を反映させる場を設けてほしいということでございますが、例示53事業はさまざまな事業が含まれております。先ほど申し上げましたとおり、今後の検討に当たっては、案件ごとに必要に応じまして関係者、議会などにも御報告申し上げ、御意見を伺う場合もあるというふうに考えてございます。

○教育長(山上美弘君)  学校給食についての質問ですけれども、能書きはわかったというのが皆さんの基本的認識ではないですか。そういったことを支える業務のあり方はどうなのか、ここだと思いますね。あれやこれやの夢を立ち上げても、現実にそれを実現するための業務のあり方はどうなんですかと、ここに尽きるのではないかと思います。今、教育委員会であり方研と言っていますが、これは人事政策の問題なんです。

 先ほど市長も言われましたけれども、現業については不補充だと、こういうことになると、今、給食を担っている方がいらっしゃいますね。あの方がだんだんこれから二、三年で10人程度やめるわけです。これが不補充ということになりますと、これはどういうことになりますかね。今の体制では行けないということですね。これで質が高くて今までのを維持するというあり方はいかなるものか、教育委員会で検討してくれと。これは非常に難しい課題ですね。と思いますね。ただ、今、市長が言われましたように、私は本当のことを言って、コストの問題も非常にあると思いますよ。武蔵野市ですよ。だから、質の問題もあれば、もちろん安全の問題もありますよ。それから、コストの問題もバランスをとって考えていきましょうと。決してコスト論先にありきじゃないですよと市長は言っているんですね。

 官だ民だというのは業務形態の問題ですから、安全とか質というのはそれですぐ簡単に言えるものじゃないですよね。ただ安くさせるために民に委託するということじゃないよと言っているわけですよね。それは質が下がるに決まっているわけですから。その辺をいつまでも能書きを言っていないで、具体的に本当は煮詰めていかなければいけない時期に来ているというふうに私も思っています。そのときにコスト論先にありきじゃないよと、両方バランスを考えていきましょうと、そのことは非常に大事な視点だなと。そして、これは人事政策上の問題が前提にあるんだと。これを皆さんどう考えるか。これを皆さんと一緒に考えて、これは別にどっちに偏るじゃないですよ。市民の期待にこたえる、こういうことにしていかなければ、ちょろまかしをしていてはだめですよというふうに頑張りたいと思います。

◯3 番(橋本しげき君)  まず、後期高齢者医療制度についてですが、市長もこの制度についての問題点といいますか、特定の年齢の方を集めて制度としてうまく運営ができるのかという問題意識があるということは今わかりました。今後の問題、いろいろな国会の動きもあるとは思うんですが、4月に始まって、本当は始まる前に──というか、始めるべきではないというふうに思っているわけですが、始まる前にいろいろきちんと吟味すべきことがされないで、始まってからあれこれ出てきているというのが自治体に対しての混乱という面でも確かに出てきているというふうに思っているんですね。ですから、見直しの案が政府からも出たと。今までこういうやり方をやってきたんだけれども、また自治体の業務を検討してそれにあわせていかなければいけないとか、廃止の問題をどうするかとか、確かに自治体はどうしたらいいのかという、自治体自身の思いはあると思うんですね。

 私は、当然それはあると思うんですが、制度自体がこういう形で問題点が多く出されていて、そして多くの国民の批判なり反対の声があるという中では、私は当然これは廃止すべきだというふうに思っているんですが。それから、今後のあるべき制度、どういう制度がいいものなのかということは、国民的な議論を大いにやるべきだというふうに思っています。市長は、これからどういう制度がいいのかというのも提案していきたいと。それから、いろいろな問題点についても改善を求めていくという立場だと思っていますので、それは引き続き機会をとらえてやっていっていただきたいということを、これは要望として求めておきたいと思います。

 次、2番目の学校給食なんですが、これは本当に大問題で、私、今回の質問は中学校給食についてではなくて、学校給食についてという質問なんです。これは小学校も含むわけです。小学校、中学校、あわせて学校給食について、私は今回質問しているつもりなんです。それで、今、市長や教育長からいろいろ答弁がありまして、それを踏まえて私は再質問したいのは、市長は安全で質の高い給食を維持していくという立場ですね。それで、これは事務事業見直しの問題も当然かかわってくるんですけれども、この報告書の中でも安全で質の高い給食の提供を維持しつつ、人件費・事業費の削減を図るというふうに書いてあるんですね。私は、安全で質の高い給食を維持するということと人件費・事業費の削減を図るということは両立しないというふうに思います。両立できるとしたら、それはどうやって両立していくつもりなのかというふうに思うんですね。安全で質の高い給食を維持するということと、人件費・事業費の削減を図るということは両立するのかどうかということを、まず私は再質問で伺いたいと思います。

 それで、安全で質の高い給食というのは、それから食育が大事だということは、これは実は非常に抽象的な言葉なんですね。具体的にはどうなのかということをこれから吟味していく必要が出てくると思うんです。つまり、具体的には武蔵野市の給食は、私も先ほど言いましたけれども、皆さん御存じのとおり手づくりでやっているとか、それから食材も気を使っているとか、いろいろ手の込んだやり方でやっているわけです。こういう具体的な中身について、安全で質の高い給食、抽象的な言葉じゃなくて、中学校給食でもきちんと維持できるんですかということを私は伺いたいと思います。それが人件費・事業費の削減と両立するんですかということを私は伺いたいと思います。

 それから、現業職の職員を採用しないということで、今、第4次定数適正化計画の最中ですが、これはもうすぐ終わるわけですね。その後に第5次ということが出てくるとは思うんですが、今のままいくと新規の職員は採用しないということになっています。これを私は改めるべきだというふうに考えます。先ほどの事務事業見直しの問題とも関連するので一緒にやっていますけれども、給食問題ということで、この見直しの答申では小学校給食が委託化の対象になっているんですね。中学校給食はこれから始めるわけですが、職員を採用しないということになれば、中学校給食だけではなくて、私は小学校給食にも影響が出てくるのではないかということは考えられると思うんですね。これは小学校給食にも影響が出てくるのかどうか、それをどういうふうに考えているのかということを市長と教育長に伺いたいと思います。

 先ほど教育長は人事政策上の問題が前提だというふうに言われたんですけれども、私はそれはそうだと思うんですね。ですから、これは職員を採用すべきだということを私、さっき質問でも申し上げたんですけれども、そういう立場に立つべきだということを再度求めて、それについての見解をもう一度伺いたいと思います。中学校給食というのは、これは新しくやる事業なんですね。新規の事業で、これから職員の問題とか、それからいろいろな事務的な問題とか、新たにいろいろやることがふえるのは、新しくやるわけですから当たり前のことなんですね。ですから、私は当然、必要な職員は採用するという立場に立つべきだというふうに思っています。

 コスト削減だけが確かによくないというのは当然だというお答えで、本当に当然だと思うんですね。私は、コスト削減だけはよくないというふうに聞いたのは、当然ですという答えが返ってくると思っていたわけですが、給食をやる上で安全、質、コストのバランスが大事だという立場に立っているのであれば、そのバランスをどうやって実現していくのかという具体的なことを考えていかないと、スローガンだけではうまくいかないということになってしまう可能性がある。私、先ほど兵庫県稲美町の例を挙げたんですが、埼玉県蓮田市では民間委託から直営に変えたんです。ここも戻したんです。実はコスト論というのは、民間委託の方が逆に高くなるという場合もあるわけです。埼玉県蓮田市では、民間から直営に戻したんですけれども、委託の方がコストが高くなるということがわかった。それから、千葉県松戸市は、自校民託方式ということで自校給食で民間業者が調理に入ってきているわけですけれども、直営の2校の生徒1人当たりの人件費は、委託の方3万689円、直営の10校平均で1人当たり人件費3万596円。委託の方が直営より若干高かったということがわかったんですね。こういう問題も起こっているところがあるわけです。だから、私は総合的にこういう場合もあるんじゃないかということをきちんと吟味してやらないと、判断を誤るおそれがあるというふうに思います。コストの問題についてもそういう問題が起こっているわけですが、それについてどういう見解をお持ちなのか伺いたいと思います。

 それから、事務事業見直しの問題については、これもちょっとだけ言いますけれども、市長は全体として市民サービスを低下させないという御答弁だったんですが、私はまずそれは当然だと。その次に、個別具体の問題でその立場を貫けるかどうかというのをお聞きしたいと思うんですね。例えばこの53事業の中には、乳がん検診、子宮がん検診は受益者負担の適正化を検討すべきと書いてあるんです。近隣で言いますと、多摩府中保健所管内の6市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、狛江市、ここは子宮がん検診は6市とも全部無料でやっているんです。なのに、何で武蔵野市が自己負担について検討すべきという報告書の提言が出るのか。私は、市長はそのまま市がやるわけじゃないんですよと言っているわけですけれども、個別具体のいろいろな問題でそういう立場、市民サービスを低下させないということがきちんと貫けるのかどうかというのを伺いたいと思います。

 もう1つ、パブリックコメントをやるということを言っているわけですが、パブリックコメントはなかなか集まらない場合もあるんですね。そこはきちんと周知して、本当に徹底的に市民に知らせるということをもう一度確認したいと思います。

◯市 長(邑上守正君)  まず、後期高齢者制度に関しましてのさまざまな課題について取り組みは、御意見も参考にしながら、私も考えを持っておりますので、大いに課題解決に向けて力を尽くしていきたいなというふうに思っております。

 さて、給食に関するお尋ねでございますが、当然これからの中学校給食というものをまずは想定して具体的な議論をいただいているところでございますが、その中でなかなか厳しい課題というようなことかもしれませんが、小学校に負けないような安全・質を維持していくということと、コストについても十分にこれを議論していくということでございますので、なかなか困難かもしれませんが、それについて最大限検討していくという姿勢は、これは大切ではないかなというふうに思っております。

 現時点では第4次職員定数適正化計画を実施しているところでございますが、その先一体どうなるのかということについては、私としてはもう一度全職員体制については議論すべきだなというふうに思っております。というのは、この間、職員の定数を削減してまいりました。しかし、市役所におりてくる仕事の量というのは減っていないですね。むしろさまざまな面でふえているということもございます。現場を見ますと、人数から申しますと全体としてはかなりふえているわけでございますが、その中での正規職員の割合は極めて少なくなってきているということで、現場自体でのさまざまな課題がこの間、私の方にも伝わってまいります。やはり正規職員とその他の職員との立場の違い、同じ仕事をするのでも立場が違うということから、大変微妙なやりとりも含めて、スムーズにいっていないということもございますので、正規職員の数というのが一体どれくらいが適正なのかについては、これは無尽蔵にこれから減らしていけばいいということではないので、一体どの程度が必要なのかということはこれから大いに議論すべきではないかなというふうに思っております。

 さらに、現時点では現業職員については、これは民営化の対象であろうということで方針を定めておりますが、今回、給食に関しての視点がかなり変わってきております。重々申し上げておりますが、食育という視点がかなり加味してきたということもあって、その食育を担うスタッフというか、職員というか、どういう立場の職員がその食育を担えていけるのかという議論が今までのところないわけでございます。したがいまして、現時点は中学校給食を集中して検討しておりますが、その先、職員のあり方について、小学校給食も含めて、大いにこれから議論すべきときが来ているのではないかなというふうに思っております。

 それから、事務事業につきましては、すべてカットしていくということではなくて、精査していくわけですね。もちろん当然のことながら見直しの中には、削減していくという方向もあるし、大いに議論した結果、その内容が非常に劣っているということであれば、当然のことながら、その見直しの中では充実という方向もあり得るわけでございますので、一概にすべてどれを切るかということではないということをぜひ御理解いただきたいなというふうに思っております。

○教育長(山上美弘君)  支障のあることばかり言って申しわけないですけれども、私は余り無責任に人員削減がだめだとかコスト削減がだめだということは言うべきではないと思います。いろいろなバランスの中で考えていくべき問題だと思います。しかしながら、議論すべき課題である、検討すべき課題であると何回聞きましたか。そういうことであいまいにしていくというような行政であってはいけないというふうに思っています。

 簡単に言いますと、小学校の給食に影響があるんですかという質問でしょう。今だって小学校は給食やっているでしょう。中学校はやっていないですね。そこの人が減っていくわけですから、それを不補充と言うんですから、影響が出るに決まっているでしょう。論議するもしないもない。小学校も民託化するよという路線が出ているんでしょう。その中でどう論議していくんですかということですね。したがって、そういうことも含めて、本質的に安全の問題とか質の問題とかを論議すれば、その問題も一緒に検討せざるを得なくなるんですね。その問題は既成路線で行くよと。あとはいい形を教育委員会で決めてくれと、これはちょっと無理じゃないですか。そもそもある事業をやるときに、人と金は要るんですよ。人と金を出したくないなら、ある事業をやらないしかない。そこを明確にしていくことが必要で、ただそう言ったからといって、財務部長に怒られますが、あれもこれもやるとなれば、それはできないでしょう。だから、そこに優先性があるわけですよ。

 ただ、先ほどから言っているけれども、何でもかんでも削減ではないわけですね。では、削減したお金をどこに持っていくんですかという問題があるわけですね。だから、市としてどこに重点をかけるんですか。だけれども、この部分は削減しましょうということがあって削減するというのは、それは適切だと思いますね。その理念がなくて、何しろもう既に現業というのは不補充だと。業務のあり方を検討しろって、何を検討するんですか。余りこれ以上本当のことを言うとまずいので、だれが見ても、これは右から見ようが左から見ようが客観的な事実は事実。もしこのまま行けば、私はきのうも言いましたけれども、今のままでは行きませんというのは、小学校についても行きませんよ。したがって、教育委員会の業務のあり方の検討という以前の問題のところが解決されない限り、今のままでは行けないというのが事実でございます。ですから、小学校について非常に評価をいただいていますね。ちょっと過大評価の面もあると思いますけれども、それは維持できるかどうかの問題は非常に不透明であると、こう言わざるを得ないと思います。そういうことも踏まえて、皆さんと一緒に本質的なところから考えていきましょう。

◯3 番(橋本しげき君)
  学校給食については、人の問題については、2011年度からの第5次定数適正化計画。市長は、今、再度議論すべきだというふうにお答えがありましたので、私は人を採用しないという、現業職否定路線ではなくて、ぜひ再度議論していただきたいというふうに思います。

 私は、今回の質問は、中学校給食を小学校とあわせて充実したものにしていくと。そして成功させていくという観点から、ぜひ市長に、これは私は政治決断だと思っていますので、リーダーシップを発揮して頑張っていただきたいという立場から質問しております。

 事務事業見直しの問題でもそうですけれども、ぜひ市民の声をよく聞いて進めていっていただきたいと思います。
                               
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