●一般質問「保育行政について」(2009年11月26日) 梶雅子
◯4 番(梶 雅子君)  今回は、保育行政について一般質問をいたします。

 最初に、大きな1番目として、国の保育行政の動向について触れながら市長の見解を求めます。

 1点目は、社会保障審議会少子化対策特別部会第1次報告がことし2月に公表されました。日本の保育所制度や福祉、社会保障制度の根幹を覆す内容のものですが、市長としてこれをどのように評価し、今後どのように対応していくつもりですか、伺います。また、社会福祉基礎構造改革についての市長の見解をお尋ねいたします。

 第2点目は、市長は現行保育所制度の公的責任と積極面について、どのように理解しているのかを伺います。全国の保育関係者は、現行の保育所制度を守れと要求していますが、現行の保育所制度と、さきに挙げました第1次報告とは何がどのように違うのか。公的責任とは何なのか。また、現行制度の積極的な利点とは何かについて、市長の認識をお尋ねいたします。

 第3点目は、第1次報告が実施された場合、市町村の役割はどのように変わると認識しているのかを伺います。この点は、今後の武蔵野市の保育行政の方向性を知る上で大変大きな点であると考えますので、明解な答弁をお願いいたします。
 次に、大きな2番目の質問として、公立保育園の民間委託化問題について伺います。全部で9項目あります。

 第1点目に、第三次子どもプラン武蔵野中間報告が11月10日に発表されました。その中で、運営主体の変更ということで、公立保育園の民間委託化を打ち出しています。中間報告を第四期長期計画・調整計画のアクションプランとして位置づけています。しかし、長期計画は保育園の民間委託化の方針を掲げてはいません。公立保育園の民間委託化をアクションプランに掲げることは、市民参加や議会意思の点から大きな問題点があると考えます。公立保育園の民間委託化について、長期計画は、公立という設置形態を維持しながら、質の向上と効率性を推進するという従来の方式を検証しつつ、さまざまな形態を検討することも今後の課題であると、あくまでも今後の検討課題としています。そのために市は、平成16年、公立保育園改革計画に基づき、外部委員を含む公立保育園改革評価委員会を設置して、武蔵野方式と呼ばれる改革を進め、公立保育園は保育水準を引き上げるなど、さまざまな改革に取り組んで成果を得てきたことは御承知のとおりです。こうした取り組みの到達点こそが今期の長期計画の検討課題であり、長期計画に参画した市民も、私たち議員もそのように認識しています。もし、邑上市長が方針の大転換を図り、どうしても民間委託化を進めたいと言うのならば、改めて市民に問い直し、次期長期計画の課題とするのが手順なのではないでしょうか。市民を真ん中にと常々言われる市長の納得の行く答弁を求めます。

 第2点は、第三次子どもプラン武蔵野の民間委託化計画は、5月に庁内に設置した武蔵野市公立保育園の役割及び認可保育園の運営形態を考える委員会の提案を反映したものです。これだけ大きな方針転換であるならば、保育園の保護者、民間保育園を含む保育園関係者、長期計画の策定にかかわった人々、市民などに事前に広く意見聴取をするべきです。しかし、残念ながら、庁内委員会のみで提案をまとめるというやり方は、これまで市長がおっしゃってきた市民参加の市政とは逆行するもので、断じて認めるわけにはまいりません。市長は、一方では民間委託をやると決まったわけではないと含みのある発言もされていますけれども、中間報告のパブリックコメントやヒアリングだけではなく、もう一度市民や保護者、民間保育園を含む保育関係者、専門家などに計画案をつくるところから意見をじっくり聞くための場を設定し、計画の市民論議を深める必要があると考えますが、いかがでしょうか。その中で、保護者や保育関係者を初め、多くの市民から公立保育園の民間委託化反対の声が寄せられれば、市長は民間委託化計画を見直すべきだと考えますが、見解を求めます。また、この間、今、パブリックコメントなどを求めていますけれども、どのような団体や個人からどのような意見が寄せられているのかもあわせてお尋ねいたします。

 第3点目は、中間報告に関連して市長の見解を伺います。市長は、公立保育園が果たしてきた役割について、どのように認識しているのでしょうか。中間報告は、多様なニーズに対して先駆的に取り組み、保育水準を引き上げてきたと述べています。公立保育園の役目を認めています。これをさらに発展させることが課題ではないでしょうか。改定保育所保育指針でも、保育の質の向上は最重要課題の一つに位置づけられていますが、公立保育園のこれまでの成果を踏まえて、一層、質の向上に努力するべきではないでしょうか。あるいは市長は、もうこれでよいとお考えになっているのでしょうか、市長の見解を伺います。また、民間委託化によって、この水準をさらに発展させることができるとお考えならば、その根拠を明確にお示しください。

 第4点目は、保育の質について伺います。保育の質ということが中間報告でも安易に使われていますけれども、定義は極めてあいまいです。この定義があいまいなままだと、民間委託化の可否についての検証もあいまいなままになります。市長は、保育の質を高める要素について、どのように認識されているのか、明確な答弁をお願いいたします。

 第5点目は、民間委託化の理由に公民コスト格差を挙げており、依然として公立保育園のコストが高いと述べています。これは、低いコストに合わせていくという論理です。市長は、公立保育園のコストが高い分は保育の質には関係していないから、切り捨てても構わないとお考えなのでしょうか。また、保育の質を公立保育園と同じように維持向上するために、民間保育園のコストは足りているとお考えでしょうか。さらに、民間保育園の財政的運営課題はどこにあるとお考えでしょうか、答弁を求めます。

 第6点目は、中間報告は民間委託化によって財源を生み出し、他の子ども関係の予算に充当すると述べていますが、まずどれくらいの財源を確保することを想定しているのかを伺います。また、大きな財源削減を伴う公立保育園の民間委託化は、保育の質の低下を招くことは疑いのないことと考えますけれども、コストを引き下げても保育の質を高められる根拠について伺います。

 第7点目は、中間報告は民間委託化によって保育の質を維持し、子どもと保護者に不安を与えない手法として、1.保育士の大幅入れかえがなく、保育内容、保育体制を継続できること。2.経験豊かな保育士がバランスよく配置されていること。3.市の関与が行えることの3つの条件を示しています。この3つの条件を実施しながらコストを削減するための条件とは何かについて、現行との比較で伺います。

 第8点目は、一般の法人では、その条件を満たすことが困難であると述べています。一般の法人では、施設整備費などの補助対象となっている法人は、社会福祉法人、日本赤十字社法による特殊法人、公益財団法人、公益社団法人、学校法人に限定されていますが、それ以外の財政援助出資団体に委託するということであれば、補助金は出るのでしょうか。これでは、3つの条件を満たすどころか、保育所運営そのものが困難になるのではないでしょうか。仮に補助対象法人であったとしても、公共性、透明性を確保するためには、公私分離の原則が適用されるべきだと考えますが、市長の明解な答弁を求めます。

 第9点目に、民間委託化の理由として、もう1つ挙げているのが市の財源が不足するというものがあります。過去5年間の一般会計枠は560億円です。過去10年間だと550億円です。今後20年間の一般会計枠を530億円とした根拠を示してください。

 大きな3番目の質問は、待機児対策についてです。

 第1点目は、ことしの4月から11月までの各月初日の待機児童について、新定義と旧定義でその待機児童数を伺います。また、新定義は待機児童数の隠れみのであり、中間報告など市民向けの行政文書には新提起と旧定義の両方を記載することを求めますが、いかがでしょうか。

 第2点目は、市長は認証保育所の積極的誘致を進めてきましたが、認証保育所と認可保育所の違いについて伺います。また、認証保育所における保育上の問題点は何かについて、市長の認識を伺います。

 第3点目は、認証保育所に預けている保護者の声をお聞きしたことがあるかどうか、伺います。保護者の声で多いものの上位を占めているものは何でしょうか、具体的にお示しください。

 第4点目に、中間報告では、待機児童解消策としてさまざまな主体による多様な保育事業の展開を述べています。その中に、認定こども園の設置が挙げられていますが、認定こども園の制度は市場原理の最たるものだと言われています。先日、NHKテレビでモデル園としてスタートした認定こども園の様子が報道されていました。短時間保育と長時間保育の混合保育による混乱や、保育計画の難しさなど、当初の心配が現実となってきており、そのしわ寄せは子どもたちに及んでいることがうかがえました。私は、境こども園の設置は見直すべきであると考えていますが、市長に改めて見解を伺います。認証保育所の積極的誘致、認定こども園の新たな設置など、邑上市長の保育施策は急激に市場原理に傾き、保育の公共性を解体する方向に向かっているのではないかと、保育関係者や市民は不安を抱いているという声を聞きます。ぜひともこれらの方々の声に耳を傾け、見直しすることを求めます。

 第5点目は、保育所の最低基準の見直しについて伺います。最近、地方分権の名のもとに最低基準を地方自治体の裁量に任せようという動きが出てきています。これについて、市長の見解と今後の対策について伺います。

 第6点目は、中間報告では3歳以上の待機児童はほぼいないと述べている点について伺います。保育関係者や保護者の意見を聞くと、乳児保育園から3歳児を保育園に転園しようとしたが、空きがないからやむなく幼稚園に通うことにした。休職中なので保育所に入れてもらえなかったといった声をたくさん聞いています。市長も施政方針で、保育所に入園を希望する家庭も増加傾向にあり、待機児はなかなか解消できておりませんと述べています。3歳以上の待機児童はいないとは、どのような根拠か。また、潜在的な希望者などの調査はしているのかどうかを伺います。

 第7点目は、待機児童対策の基本として、私は認可保育園の施設拡充や増設を原則とするべきだと考えます。保育所を建てれば、当面はお金がかかりますが、保育がもたらした子どもの良好な発達をお金に換算すると、結果的には社会が受け取る利益は、保育に要した費用の6倍から7倍に達するというアメリカのペリープリスクール研究があります。よりよい保育がよりよい社会環境をつくり出し、負の社会的要素を超えるからです。待機児童の解消は、乳児保育所の施設拡充や認可保育園の増設の援助を行うことが基本となるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。

 最後に、8点目として、現在は保育観や子ども観の一大転換の時代であると言われています。そこで、市長の保育観、子ども観と保育行政の役割について、希望のある答弁を求めます。

 以上で一般質問を終わります。

◯市 長(邑上守正君)  それでは、梶 雅子議員の一般質問にお答えしてまいります。保育行政全般に対するそれぞれの質問でございました。

 まず、1点目に、国の動向として社会保障審議会少子化対策特別部会の報告、あるいはその報告の今後の行方をどう考えるか等々でございました。その前提として、保育制度の公的責任、質問では2番目でございましたが、それを先にお答えしていきますと、当然のことながら法によりますと児童福祉法第24条第1項によって、市町村は保育に欠ける児童を保育所において保育しなければならないと規定しておるわけでございますので、それに基づき、市も保育行政を進めているところでございます。そして、認可保育所の整備を行い、待機児童を解消することは基礎自治体の責務だと認識してございます。なお、同法同条のただし書き規定により、認可保育所以外の認証保育所や保育ママによる保育環境の整備についても、これは認められているわけでございますので、そういう認めている範囲の中で適切な対応をしていくべきだと、このような認識をしているところでございます。

 次に、先ほど冒頭にお話しいただきました社会保障審議会少子化対策特別部会の報告ということで、項目は多岐にわたっているわけでございますが、先ほどその具体的な紹介がありませんでしたが、大きく5つの項目で、1点目がこれからの保育制度のあり方、2点目が放課後児童、3点目がすべての子育て家庭に対する支援、4点目が情報公開、評価の仕組み、5点目は財源・費用負担ということでございますが、きょうの全般的な御質問のテーマからすると、1番目のこれからの保育制度のあり方であろうと思っております。このこれからの保育制度のあり方についてのポイントというのは、新たな保育の仕組みとして、利用者が保育所と公的保育契約を締結するという方式、直接契約にするというものではないかと思っております。

 ただ、保育制度のあり方に関する審議会の基本的な考え方としては、以下読み上げますと、すべての子どもの健やかな育ちの支援を基本とすべきである。質の確保された量の拡充が必要であり、財源確保とともに必要な改革を行うべきである。また、子どもの健やかな育成は、未来への投資として国が責任を持って進むべきものであり、国・地方を通じた公的責任の強化が図られるべきである。これは全くもっともなことだと思っておりますので、この基本的な考え方に関しましては一定の評価をしていきたいと思っております。ただ、直接契約につきましては、これ以上に具体的にまだ詳細についての検討が進んでいないということもございますし、これから保育行政に対する考え方を大きく変えていかない、取り組みを変えていかないということでございますので、この動向に大いに留意してまいりたいと思っておるところでございます。そして、この契約等についての課題としてあるとすれば、それは整理をして、東京都もしくは国等にも意見を提案していきたいと考えているところでございます。

 次に、民間委託化問題ということでございます。民間委託ということで、それ自体が大変課題であるということで、なかなか中身をよく見ていただかないでの反対の声も多いのではないかと思っております。丁寧な説明を今、心がけておるわけでございますし、そういう不安をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひお声をかけていただければ、直接担当の方でも御説明に行きます。私もそういう皆様方を拒むことなく、いろいろな団体の要望に応じてお会いして説明してまいった経過もございます。

 そこで、第三次子どもプラン武蔵野と第四期長期計画・調整計画との関係でございますが、第四期長期計画・調整計画ではすべての子どもの育ちと学びを保障する環境を整備し、子どもの視点に立った施策を推進するとしておりますし、今回の第三次子どもプラン武蔵野の中間報告においても、保育の質の維持向上の取り組みは、子どもの育ちを保障する環境整備を具体化したものですと記載しているところでございます。そして、公立保育園に関する記載につきましては、先ほど読み上げていただいたとおりでございまして、公立という設置形態を維持しながら、質の向上と効率化を推進するという従来の方式を検証しつつ、さまざまな運営の形態を検討することも今後の課題であるということから、その課題に対して検討を進めているという御理解をいただきたいと思っております。そして、第三次武蔵野市行財政改革を推進するための基本方針に基づまして、行財政改革アクションプランが策定されたことから庁内検討を進め、第三次子どもプラン武蔵野中間報告に盛り込んだものでございます。

 2番目で、現場の意見、市民参加の議論、この間の団体・個人からの意見についてということでございますが、庁内においては武蔵野市公立保育園の役割及び運営形態を考える委員会を設置いたしまして、ここには公立保育園9園の園長をメンバーとした検討部会を設置し、意見交換を行っております。また、現場でございます保育園職員の意見は、園長を通じて委員会の中でも取り上げ、議論を行ってまいりました。また、保育園職員からは文書での意見聴取も行っております。市民からは、第三次子どもプラン武蔵野中間報告に盛り込むことにより、現在、パブリックコメントの形で意見聴取を行っているところでございます。この間いただきました団体あるいは個人からの意見としては、幾つかの保育関係団体からの文書の提出がございました。内容としては、民営化反対ということが意見としては多いのですが、一般的な民営化を想定したものが多いため、私どもが目指す、他都市でやっているような民営化とは違った考え方を今後よく説明してまいりたいと考えております。

 3点目で、公立保育園が果たしてきた役割、民間委託後の保育水準の引き上げの根拠というお尋ねでございますが、これまで武蔵野市の公立保育園というのは、多様化する保育ニーズに対し先駆的な取り組みを行ってきたところでございます。また、公立保育園が一定で均一な保育を提供することによりまして、市全体の認可保育園も含む保育水準の根拠となって、基準となっておりました。このことも公立保育園が果たしてきた役割と評価しているところでございます。運営主体の変更によって保育水準が引き上げられる根拠につきましては、その1つとして、現在の非常勤職員を正規職員として雇用することが可能な方式であるということも大きいのではないかと考えております。

 4点目で、保育の質を高める要素ということでございますが、保育の質、それは子どもの育ちを保障することだと、一言で申しますとそのようなことかなと思っておりますが、その保育の質を高める要素としては、保育園で働くすべての保育者の専門的な資源と、職員集団としての保育実践の取り組みが最も大きなものだと考えております。そして、質の向上のためには、保育者の専門的資質の向上のための研修を充実させる。そして、経営の安定と雇用の安定は必要不可欠だと認識しているところでございます。

 5点目で、公立コストの高いことと保育の質との関係、あるいは民間園の財政的運営・課題ということでございますが、基本的に認可保育園においては、公立と民間に保育の差はないと考えております。従来、武蔵野市では民間保育園に対しまして、他市と比較してかなり市独自の上乗せ補助を行っているところでございまして、恐らく26市の中では極めて多くの額を支援しているのではないかと思っております。

 6点目、7点目、民間委託化による財源の問題、そして保育の質の向上との関係等々につきまして一括してお答え申し上げます。運営主体の変更による新たな財源の確保につきましては、これは人件費の差によるものと、国・都からの運営費補助によるものがあるわけでございます。特に、国や都からの運営費は1園当たり約2,000万円という額を見込んでおるところでございます。ただ、人件費の差につきましては、当初の段階、スタート直後におきましては、公立保育園の職員を派遣することを考えておりますので、現行の非正規職員を正規職員として採用する方法を検討することもございますので、大幅な財源確保は見込んでおりません。

 8点目に、財政援助出資団体の保育所運営について、経営の安定性への危機というお尋ねでございますが、財政援助出資団体への委託化というのは、市の職員を派遣することや、現在の非正規職員を正規職員として雇用することのほかに、市が関与することが可能でありまして、経営の安定、雇用の安定が図れることを前提としているわけでございます。

 9点目、民間委託化の理由の一つに市の財源不足ということを挙げているが、その基準として、今後20年間の一般会計枠を530億円とした根拠ということでございますが、一般会計の財源枠を530億円とした根拠につきましては、第三次行財政改革を推進するための基本方針、平成21年3月にまとめたものでございますが、その中で今後の見通しと課題の中で、今後の行財政運営全体の枠組みを考えるに当たっての一つの推計値としてお示ししたものでございます。推計に当たっては、過去の予算規模、市税収入等のこれまでの推移と予測が困難な面もあるわけでございますが、今後の見込み、財政規律に配慮した上での起債と基金からの繰り入れ、投資的経費に対する国庫補助等の過去の充当率などを総合的に勘案して設定したものでございます。

 次に、待機児童対策についてということで8点ほど御質問いただいております。

 1点目は、まず4月から11月までの待機児童数、新定義と旧定義ということでございますが、表をお出しすれば早いのですが、4月から10月までの新定義、旧定義については、4月の時点で新定義から言いますと79人、旧定義が179人。後でまたコピーをお渡ししますが、だんだんにふえておりまして、10月の時点で新定義で申しますと115人、旧定義で申しますと250人ということになっております。平成14年の厚生労働省の通知によりまして、地方公共団体における単独保育施策、これは認可保育所や保育室、保育ママ等で保育されている児童、及び1年だけの申込者は待機児童数には含めないこととされております。よって現在は、新定義によります待機児数として、これを公表しているところでございます。

 2点目で、認証保育所と認可保育所の違いということでございますが、設置主体は認可保育所は市区町村、あとは社会福祉法人、株式会社、NPO等、認証保育所の方は、株式会社、NPO、個人となっております。面積要件は大きくは変わらないのですが、基本的にはゼロ−1歳児3.3平方メートル以上、2歳以上1.98平方メートル以上ということでございますが、認証保育所の中にはA型、B型がございまして、B型においては面積規模要件ゼロ−1歳がやや小さく、2.5平方メートル以上ということで、ここで若干面積基準の差がございます。そして、開所時間の差がございまして、認可保育所では11時間以上、認証保育所では13時間以上ということでございます。そして、保育料については、認可保育所は所得に応ずる、認証保育所は施設による自由設定、ただし上限があるということでございます。その他、認証保育所については、保育に欠けるといった要件はない。つまり、どなたでも入れるということと、直接契約ということが認証の特徴でございます。

 保育上のさまざまな問題点につきましては、各施設がそれぞれ抱えている事項はあると思われますけれども、市内における認証保育所については、それぞれの施設がさまざまな努力・工夫をされていると認識しているところでございます。

 3点目の、認証保育所入所児童保護者の声ということで、特別のアンケート調査等は行っておりませんが、保育所入所申し込みに窓口に来られる保護者の声としては、やはり保育料に関するもの、高いというお話が一番多いということでございます。そして、各施設が行っている第三者評価の保護者意見としては、駅前にあるなど利便性が高い。長時間保育に対応してくれる。また、直接契約のため、利用手続が簡便であるといったこともあると聞いております。全体の満足度は高いといった評価もいただいております。

 4番目で、認定こども園境こども園の見直し等についてでございますが、境こども園は、待機児童解消を図るということ、そして境幼稚園で培われてきた幼児教育を継承するということ、そして育児不安解消のための、より地域に開かれた形での子育て支援の目的を果たすという、この3つの機能を含めた新しい施設として考えているわけでございまして、他区市での認定こども園等のさまざまな事例・課題等も踏まえて、よりよい施設となるよう準備を進めていきたいと考えております。

 5番目の国の最低基準見直しの動向ということで、これも新聞報道等で見直しということが報道されているわけでございますが、具体的には市には正式な通知が来ていない状況でございます。新聞報道を見て、あるいは今までの基準を見ますに、確かにこの基準というのは戦後直後につくられた基準ということで、必ずしも現在の社会状況とは合っていない面があるかもしれませんが、東京都も、あるいは武蔵野市も、今まではそれを上回るような基準で対応しておりますので、今後も市として保育の質を維持するということにおいて、基準についてはきちんと考え、そして国が大きくそのような考え方を見直されることについては、その課題があるとすれば大いに意見を言っていきたいと思っております。

 6番目で、3歳以上の待機児童数ということでございますが、これは4月時点で1名でございました。そして、10月1日付では2名ということになっておりますが、実際の保育所の状況を見ますと、3歳以上に空きがある、定員割れの状況となっております。

 7番目で、待機児童対策としての認可保育園の施設拡充や増設ということでございますが、待機児童解消につきましては、第三次子どもプラン武蔵野の中においても重点的な取り組みと位置づけをしているところでございます。これまでも待機児童対策についてはさまざまな施策を行ってまいりましたが、引き続き待機児童ゼロを目指して多様な保育事業を展開していきたいと思っております。ちなみに、いよいよ精華第二保育園が開設となります。昨日、施設を見てまいりましたが、商店街の中にあって、なかなかいい、地域になじみやすい保育園ではないかなと思っておりますので、運営のほどを期待したいなと思っているところでございます。

 最後に、保育観、子ども観、保育行政の役割という大きなお尋ねでございますが、再三、私、話しているとおり、乳幼児期、就学前の子どもたちというのは、人間形成で極めて重要な時期である。これは間違いない話でございますので、行政としても最善の方法で保育に取り組まなければならないと考えているわけでございまして、さらに子育て支援という、保護者の視点だけではなくて、むしろ子どもの視点を大いに重視するような取り組みが必要であると考えております。子どもの育ちを保障しなければいけないということと、望ましい未来をつくり出すような力を子どもにつけてもらう、そんな保育の充実を目指して取り組んでまいりたいと考えております。

◯4 番(梶 雅子君) 答弁漏れ、1つだけ。

 1の最後に、これで国が変わったら市町村の役割はどのように変わるかというのを言ってあると思うんですけれども、そこだけなかったように思います。

◯市 長(邑上守正君)  まだ具体的にこれをやるということが詳細な話がございません。まだ報告レベルなので、その詳細を見てからの判断と考えております。

◯4 番(梶 雅子君) 最後におっしゃってくださった、乳幼児は極めて重要な時期であるということ。そこが、先ほどから文化のときも一番おっしゃって、教育長もおっしゃったけれども、一人一人の子どもを大切にするということと、人間が人間らしく生きるということ。一番人間が人間らしくなるのが、このゼロ歳から5歳、保育園時期だと思うんですね。ですから、ここでどう育っていくかというのは、武蔵野市だけではなく、日本全体にとっても一番大切なところなので、ここに私はお金をかけるということは当然のことだと思うんですね。

 もう一つ、子どもの視点というのをおっしゃってくださって、それが第三次子どもプラン武蔵野の中でも、その子どもの視点というのがどこにでも見えるような報告書になっていれば、私はそれが一番いいことだと思うんですね。

 それで、親は武蔵野市の民間委託は中身を見て言っていないんじゃないかとおっしゃるけれども、3回、今までいろいろなところで説明会をやっていても、私は最後のに出ましたけれども、橋本議員は一番初めのに出た。親からは不安の声が一番出ているんですよね。中身を見て、たとえ財団を市がやるからいいとおっしゃるけれども、このときの考え方で私が納得できないのは費用対効果。最低の費用で最高の効果を得るため、それでここで少しでも余ったお金を他の子ども事業に。親は、他のものよりも、保育園とか待機児対策をきちっとやって、一番大切な子どものときに費用対効果という考えでということを言われるから困るというか、不安を感じるというのがすごく多いと思うんですけれども、市長は親の考え、保育者の考えをどう思っていらっしゃるのか、まず1点、大きな保育観と同時に聞きたいと思います。

 2点目として、530億円というのは推計したものだとおっしゃるけれども、現実には10年間、550か560億円で続いてきているけれども、ということは今後20年間は今のような不況の状態が続いてやっていくと考えているのか。と同時に、10月15日号の市報で、平成18年度に初めて資産超過、黒字に転じたのに続き、平成20年度もマイナス38億円で、これだけ黒字になっていて資産超過を維持しており、良好な財政状況になりますと、これだけ大きく載っているわけです。しかも、財政力指数が1.6という中で、財政力だけで子どもの問題を考えていく、お金のことで考えていくということで、父母としては子どもの育ちを考えていかれることに納得しないんですけれども、この財政力指数とか武蔵野市の今後の財政について、どういうふうに考えていらっしゃるのか。子どものことは我慢しなくていい。市長も先ほどおっしゃったように、一番重要な最善のことだとおっしゃるんだったら、それを一番最初に出していくというのはおかしいのではないかというのが2点目です。

 3点目に、先ほどの待機児、新定義と旧定義で100人以上違うんですよね。それで、新定義というのは、あくまでも認証でもみんな入ればなくなっているんですけれども、その中において、先ほどおっしゃったように、保護者の声で保育料が高い。できたら認可保育園の方が園庭もあって、保育士もきちっとしていてというのでは、認可保育園に入りたいという人が多いのに、まだ認証で行かないと。それと、今、働きたくても働いていないから保育園に入れない、この悪循環の潜在的な待機児というのは、武蔵野市の場合、どういうふうに考えていくのか。

 それから、公民コストの格差で、いろいろなことを言っていますけれども、確かに武蔵野市の場合、保育の差はなくて、民間がきちっとなさっているということは認めます。それは、それだけ市がきちっとやってきたことと同時に、保育園の保育士の給料の差があるけれども、それを民間保育園の保育士たちは働きがいをもって、そこを我慢というか、低くてもやっていこうという気概に燃えてやっていらっしゃるわけですよね。ですから、そこをどうとらえて、これから武蔵野市で、まだ補助できるところはどうなっているかを考えていく。そして、民間保育園との差がないようにしていくにはどうしたらいいのか考えているのかどうか。

 それと同時に、今度、民間保育園に考えていく場合、市のやる財団だから財政援助出資団体だからいい。これは民間委託じゃないと市の方はおっしゃっているようですけれども、私はどのような出資団体がやろうと民間委託だと考えています。それはなぜかというと、これでは公私分離の原則というのがあって、どんな出資団体だろうと、それに市が介入していくということはできないはずなんです。その辺をどういうふうに考えているのか、この財政援助出資団体では大きな問題になっていくのが1つと。

 それから、今、市が出した全体で考えている武蔵野市行財政アクションプランの中で、財政援助出資団体の経営責任の明確化というのが19ページに書かれているんですけれども、財政援助出資団体の設立趣旨にのっとり、さらに設立後の年数に応じて、固有職員の高齢化に伴う人件費増などがあって、これも何年かたったらいろいろな問題が出てくると思うんですよね。しかも、今の保育園の方たちがそこに出向という形で行ったりしたら、給与体系も、市のものがあって、この財政援助出資団体のものがあって、もしそこにアルバイトとかが来たらとか、いろいろ問題が出てきてしまって、決して市の考えているようにうまくいかないと思うんですけれども、その辺はこういう財政援助出資団体なら公立と同じようにいくという根拠は何なんでしょうか。

◯市 長(邑上守正君)  まず財政の話ですが、現在での財政的な指数を比較すると、確かに他都市に比べれば健全だと言われるかもしれませんが、必ずしもそれが余裕があるということではございませんし、ましてや市民税が大きな根幹的な財源になっているわけでございますが、これから市民の皆様方の今後の所得等を考えますと、伸びるという要因がなかなかない。しかも、これからは武蔵野市も高齢化社会を迎えていくということの中で、財政的に伸びるという要因はなかなか見出せないところでございます。しかも、これから都市リニューアル等、再三お話をさしあげているとおり、大きな課題に挑戦していかなければいけない中で、今、行っているさまざまな事業も見直しをし、無駄を徹底してなくしていくということが必要でありますし、限られた財源で最大の効果を発揮するよう工夫していくこと、これは極めて当たり前のことだと思っております。多様な子育て支援策も、このようなさまざまな工夫によって新たな財源を生み出して、それを使っていくということから多様なサービスにこたえていくべきだと考えるところでございます。

 そして、今後の待機児あるいは保育園をお求めになる御家庭がどれぐらいふえるか、これがなかなか難しい数字でございます。確かに社会的には、女性の社会進出というのがより進むべきだと思いますし、その観点からすると、保育園を希望される家庭がふえるということもあり得るかもしれませんが、その全般的な考えるに当たっての母数となる子どもの将来人口を考えますと、今時点ではかなり減少していくということを想定しておりますので、その減少傾向と女性の就業率、あるいは保育園を求める割合がどの程度になって、そして総体として人数がどうなるかについては、なかなか予測が難しい状況にはございます。しかし、当面、今は待機児という大きな課題を抱えておりますので、抱えている課題解決に向けてさまざまな子育て支援策を積み重ねていきたいと考えております。

 民間保育園に関しましても、市として最大限できることは支援しておりますし、保育内容については保護者の皆さんから大変評価をいただいていると思っております。今後とも民間保育園での運営上の課題があるとすれば、それを大いに指摘いただいて、その課題解決にどういう形で市が支援できるのかも含めて検討を進めてまいりたいと思っております。

 財政援助出資団体につきましては、法人化ということで子ども協会を想定しているわけでございますが、確かに直営ではないことからすれば、民間の範疇に入るかもしれませんが、完全な民間でもありません。むしろ、公的に保障した団体でございますので、新しい組織によって正規雇用をふやしていくということで運営の体制を強化していくということにおいて、私はこの方式も一つの方法であろうと考えているところでございます。

◯4 番(梶 雅子君) これから財政的に大変だというのはわかります。だから、その中でどれをどういうふうにやっていくかというのが、それこそ市とか市長の腕だと思いますし、そこにそれぞれの市の特徴が出てくるとしたら、武蔵野市は乳幼児や高齢者が住みやすくていいまちだということをしっかりとやっていくためにも、私はできるところでやっていく。今後かかるいろいろな費用は、またそれなりに市民の方と今後のことも全部やって、今のお金でなくても、市債やらいろいろなことを考えてみんなでやっていくということも兼ねながら。まず、子どもたちが減少傾向にあるんだったら、それこそ今の子どもたちが多いからということで、今の時代に生まれてきたことによって差別がないように。あと10年なり20年の話だったら、その間のことをきっかりやっていけば、その後は余裕ができて、本当にいい子育てができるんですから。それでも旧定義で言ったら、250人とか、これだけの子どもが行きたいんだから、そこをやるために、例えば文京区は文京区の保育ビジョンをやっていて、公設公営保育園を維持する。現在、17ある公設園は公設としてやっていく。文京区の財政力指数は0.6です。経常費比率90%台でもやっているんです。ですから、そこをきちっとやっていくということを、これはぜひ市の政策として子どもを大切にするというのを、市長、平和を願うと同じように大事にしていただきたいんです。人間が一番人間らしく生きるゼロ歳から6歳までの子どもをぜひ大切にしていただきたいと思います。そこに対して市長の考えをお願いします。

◯市 長(邑上守正君)  再三申し上げておりますが、子育て支援策というのは大きな大切な柱だと思っておりますので、財源については大変大きな課題がございますが、限られた財源の中でも大いに工夫をしながら子育て支援策を充実してまいりたいと思っております。
                               
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