●一般質問「社会保障と税の一体改革の影響等について」(2012年6月15日) 橋本しげき
◯24番(橋本しげき君)  今回の一般質問、私は、社会保障と税の一体改革の影響について、市内で大型マンション建設計画が相次いでいることについて、原発ゼロを進めることについての大きく3点の質問をいたします。

 まず大きな1点目に、社会保障と税の一体改革の影響についてです。野田民主党政権は、マニフェストを捨て去り、今国会で消費税増税法案を不退転の決意で成立させようとしています。野田政権は、富裕層や大企業への優遇税制は温存する一方で、庶民には大増税を押しつけようとしています。その上、社会保障は大改悪のオンパレードです。現在、情勢は動いておりますが、一体改革の中身は年金の支給額の引き下げ、医療費の負担増、介護保険料の値上げとサービス切り捨て、保育の公的責任放棄などであり、自・公政権でさえここまでやらなかった大改悪がメジロ押しです。消費税増税と社会保障の改悪で何と約20兆円もの前代未聞の庶民負担増になるのです。社会保障は切り捨て、消費税増税だけがのしかかる。これでは消費税は社会保障のためだなどという説明は全く成り立たないではありませんか。しかも、既に消費税増税を当て込んで無駄遣いが拡大し、かえって財政を悪化させる兆候があらわれています。総事業費9,000億円もの八ッ場ダム建設復活、1メートルつくるのに1億円もかかる外環道路建設推進などはその象徴です。無駄遣いを温存・拡大したままの消費税増税は許されません。

 しかも、消費税増税は被災者にも容赦なく降りかかります。これはまさに復興に逆行するやり方です。消費税増税は家計を大きく冷え込ませ、景気はさらに大きく落ち込んでしまいます。これでは結局税収もふえません。この消費税増税法案に関し、民主、自民、公明の3党で修正協議が行われています。どんな世論調査でも国民の60%前後は消費税増税に反対しており、この間の国会審議を通じても国民多数の反対は揺るぎません。増税大連合による密室協議の増税談合は民意に真っ向から背くものです。日本共産党は、国民の世論と運動をさらに広げて、消費税増税法案を廃案に追い込むために全力を尽くす決意を表明するものです。

 では、消費税増税ではなく、どうやって社会保障と財政再建の財源をつくることができるのか。日本共産党は2月に、消費税大増税ストップ、社会保障充実、財政危機打開の提言を発表しました。ここでは、消費税に頼らない別の道があることを具体的に提案しています。2段階で社会保障と財政再建の財源を生み出します。

 日本共産党の財源提案の中身を簡潔に紹介したいと思います。

 第1段階では、まず無駄を徹底して削ることです。不要不急の大型公共事業を見直し、原発推進予算の削減、米軍思いやり予算を初め年間5兆円の軍事費削減、機密費の廃止など、聖域のない無駄削減を行います。政治家みずから身を削るというなら、民意を削る衆議院の比例定数削減ではなく、日本共産党以外の政党にばらまかれている政党助成金320億円こそまず廃止すべきではないでしょうか。これらで3.5兆円の財源をつくります。

 また、増税はまず富裕層から、そしてさらなる大企業減税をやめるべきです。財政危機のもとでも富裕層や大企業には減税が繰り返されてきました。今年度も富裕層や大企業に1.7兆円の新たな減税をばらまきます。そのため、年所得が1億円を超えると税負担が逆にどんどん軽くなっていく。大企業は手厚い優遇税制で実質税負担率は10%台などとなっています。このような異常な不公平を正し、富裕層や大企業に対し負担能力に応じた税負担を求めます。これで8から11兆円の財源をつくります。

 これらで生みだした財源で社会保障再生計画を実行します。減らない年金を実現し、無年金、低年金の解決に踏み出す。医療の窓口負担を軽減し、医療崩壊を立て直す。特養ホームの待機者をなくし、安心して利用できる制度にする。待機児童を解消するなどを行います。

 次に第2段階では、社会保障を先進水準へと抜本的に拡充します。そのための財源は国民全体で支える必要が出てきます。その場合でも、所得の低い人ほど重い負担になる最も不公平な消費税ではなく、所得による累進性を高めて負担能力に応じた負担を貫いた税制改革を行います。これで6兆円の財源をつくります。

 さらに、第1段階、第2段階を通じて同時並行で、国民の所得をふやし経済を健全に成長させることで税収をふやします。人間らしく働ける雇用のルールをつくり、最低賃金を引き上げる。中小企業への支援を強化する。原発ゼロ・自然エネルギーへの転換を図る。安心の子育て社会を目指すなどで国民の暮らしを支えてこそ、消費もふえ景気も回復します。

 大企業の貯め込んだ利益(内部留保)は、この10年間で90兆円もふえて266兆円になりました。大企業は金余り現象で、金の使い道がなくて困っていると言っています。労働総研の1月19日の提言では、これら内部留保のわずか6.8%を生きたお金として社会に還元しただけで、雇用は466万人ふえ国民の所得は18兆円ふえると試算しています。家計消費支出は13兆円ふえますから、日本経済を内需主導の健全な発展の道にのせることができ、国内総生産は20兆円ふえると試算されています。そうすれば、大企業の利益もふえ、税収もふやすことができます。この経済の民主的改革で年平均2.4%の経済成長が実現すれば、10年後には20兆円の財源を生み出すことができます。この2.4%の経済成長率というのは、内閣府の成長戦略シナリオよりも控え目の数字であり、実現可能なものです。

 このように第1段階、第2段階とあわせて同時並行の経済成長による税収増で合計全体で40兆円の財源を新たに生み出すことができます。消費税増税ではない財源確保の道にこそ踏み出すべきだということを強調したいと思います。

 以上を踏まえまして、以下、消費税増税と社会保障の改悪の問題点について何点か質問したいと思います。

 1点目の質問です。1996年までは景気は穏やかに上昇傾向でしたが、1997年に消費税率が3%から現在の5%に上がって以降、景気は落ち込み、税収は単年度で14兆円減少し、国と地方をあわせた借金はわずか4年間で200兆円ふえました。サラリーマンの年間給与は1997年は平均467万円でしたが、2010年には412万円と55万円も引き下げられました。働く貧困層の増大など、当時よりひどい経済状況の今、このような大増税は暴挙とも言える亡国の道です。まさに消費税増税は百害あって一利なしで、暮らしも景気も財政も壊すことになると考えます。このことについての市長の認識と見解を伺います。

 2点目の質問です。消費税は、所得の低い層ほど重い負担のかかる逆進的で格差を広げる税で、最も社会保障の財源にふさわしくない税です。今の税率5%で年所得200万円以下の方は消費税の負担率は5.3%で、税率以上に負担しています。それに対して、所得2,000万円以上の方は負担率が1.2%です。この消費税の逆進性に対する市長の見解を伺います。

 3点目の質問です。消費税増税は国民の暮らしに大打撃を与えるだけではなく、自治体にも影響を与えると考えます。自治体の歳出にも消費税は上乗せされます。消費税増税の武蔵野市に対する影響について、おとといの一般質問でも議論がありましたが、改めて現時点での試算を伺います。

 4点目の質問です。社会保障改悪の中身として年金については支給額の引き下げ、保険料引き上げ、支給開始年齢先送りが計画されています。年金制度の改悪はさらなる将来不安をつくり出し、格差と貧困を広げることになります。この点についての市長の見解を伺います。また、最低保障年金制度の創設も含め、信頼できる年金制度の確立について国に意見を上げることを求めますが、いかがでしょうか。

 5点目の質問です。子ども手当については、当初の月額2万6,000円の半分の1万3,000円にとどまり、それも民主、自民、公明の3党合意で、月額1万円、ただし3歳未満と3人目だけ1万5,000円の児童手当へと戻してしまいました。市長は、子ども手当について評価する立場を表明してこられたと思いますが、子ども手当の改悪についてどう認識しているかを伺います。

 次に、大きな2点目、市内で大型マンション建設計画が相次いでいることについてです。市内では大型マンションなどの建設計画が相次いで進められ、周辺住民から反対や計画見直しの声が出ている例も少なくありません。私はこれに関連して、解体工事の件で12月の市議会一般質問で取り上げていますが、建設計画について、三鷹駅の北口地域で見ると、順不同ですが、例えば次のような計画があります。1つ目は西久保1丁目、西久保コミセン北側の銀行の寮跡地に建設計画がある(仮称)武蔵野南北プロジェクトです。これは3階建て116室の有料老人ホーム計画です。近隣住民から計画の見直しを求める声が出ています。

 2つ目は西久保3丁目、ゴルフ練習場跡地に計画がある(仮称)武蔵野市西久保3丁目計画です。これは11階建て128戸のマンション計画で、近隣住民からプライバシーの問題や日陰になって困るという苦情が出されています。

 3つ目は西久保3丁目の旧保健所北側に計画がある(仮称)武蔵野市西久保3丁目計画新築工事です。これは5階建て27戸のマンション計画で、この計画に対しては、計画北側の建物の壁に、マンション建設反対の看板や横断幕が出されるなど、反対の声が出ています。

 4つ目は中町3丁目のティアックの跡地に計画がある(仮称)武蔵野中町3丁目集合住宅計画新築工事です。これは5階建て149戸のマンション計画で、計画地北側の公園の扱いについては今議会に陳情が出ていますが、近隣住民から計画の見直しを求める声が出されています。

 5つ目は緑町3丁目に計画がある(仮称)シルバーシティ武蔵野東館新築計画です。これは3階建て39室の介護つき有料老人ホーム計画です。近隣住民から計画の見直しを求める声が出ています。

 これら5つの計画は、まちづくり条例に基づき周辺住民から意見書が出され、開発事業者と周辺住民との意見調整のための調整会が開かれています。市内ではほかにも多くのマンション計画があります。法律に違反しさえしなければ、もうけのためには何をしてもいいということではありません。まちづくりや景観の観点から、まち並みにふさわしい計画が求められます。

 これらを踏まえて、以下、質問をいたします。

 1点目の質問です。(仮称)武蔵野市西久保3丁目計画についてです。計画地北側の建物に、大切な太陽を奪うな、マンション建設反対と書かれた横断幕や看板が出されています。私は、この建物に住んでいる方から話を伺いました。この横断幕や看板が出された経緯はいろいろあるようですが、日光が当たらなくなるということで反対の声が上がっています。この間、この件で調整会が2回開かれて、後日3回目も開かれる予定だと思いますが、市は、建設事業者に対してどのような指導をするつもりなのかを伺いたいと思います。

 2点目の質問です。2009年4月に施行されたまちづくり条例は、3年余りたちましたが、条例に基づいて手続が行われた事業の中で調整会が開かれたのは11の事業です。武蔵野市まちづくり条例ガイドによると、調整会の目的は、近隣関係住民と開発事業者の意見の整理や調整を行うこととされています。開発事業は2通りあって、大規模開発事業は面積3,000平方メートル以上の区域における開発行為などで、これに対応する事業計画が大規模開発基本構想です。それ以外が一般開発事業となり、それに対応する事業計画が開発基本計画です。さらに、まちづくり条例ガイドを見ますと、大規模開発基本構想にかかわる調整会は、意見の整理を行うものとして、原則1回の開催とします。開発基本計画にかかわる調整会は、意見の整理及び調整を行うものとして、原則3回までの開催としますとあります。そして最終的にはまちづくり委員会の報告をもとに、市長が近隣関係住民または開発事業者に対して助言(指導であり強制ではありません)を行いますとあります。このように大規模開発基本構想の場合、調整会は原則1回の開催ですが、開発基本計画の場合、調整会は原則3回までの開催となっています。しかし実際は、開発基本計画の場合でも調整会が1回で終わってしまうことが少なくありません。近隣関係住民と開発事業者の意見が対立した場合、調整不能として調整対象から外され、調整会自体が終了する場合があります。そこで、これまでに開かれた調整会について、市はどういう評価をしているのかを見解を伺いたいと思います。

 3点目の質問です。まちづくり条例では建設計画について市長が意見を出せることになっています。市民が建設計画の見直しを求めている事案について、市長が周辺住民の立場に立って積極的に意見を出すことが必要だと考えますが、市長意見が出されない例が多くあります。調整会が開かれた11の事業のうち、市長意見が提出されたのは3つの事業のみです。また、調整会が開かれていない事業で市長意見が出されたものが1つあります。市長は、市民代表としてもっと積極的に意見表明する姿勢が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

 4点目の質問です。武蔵野市建築物の高さの最高限度の導入に関する基本方針案が出されており、この件に関連して、私は2月29日の一般質問で聞いています。市内でマンション建設などがふえ、周辺住民から計画の見直しを求める声が上がる現状で、この基本方針案が実行されれば、どのような効果があると考えているのかを伺いたいと思います。

 5点目の質問です。乱開発を防ぐには、事が起こる前に地区計画を定めるなどの必要があると思います。武蔵野市まちづくり条例ガイドによると、地区計画では地区施設(道路、公園)の整備や建築物の用途の制限、壁面の位置の制限、高さの最高限度などを定めることができます。地区内で建築物を建築するときはこれらの制限がかかりますとあります。自分たちのまちを自分たちでつくるためにも、地区計画の制定を市が積極的に呼びかける必要があると思いますが、見解を伺います。

 次に、大きな3点目に、原発ゼロを進めることについてです。4月28日に、脱原発をめざす首長会議が設立総会を行いました。東京都からは保坂世田谷区長、矢野狛江市長、上原元国立市長とともに邑上市長も加盟しました。この脱原発をめざす首長会議は、以下の活動方針を決めました。新しい原発はつくらない、できるだけ早期に原発をゼロにするとして、1、原発の実態を把握する、これは原価、核燃料サイクル、最終処分場などです。2、原発ゼロに至るまでのプログラムを明確にする。3、地域での再生可能なエネルギーを推進する具体政策をつくる。4、世界との連携による情報を共有する。5、子どもの避難や安全な食品の提供などの支援をするというものです。私は、邑上市長がこのような取り組みに積極的に参加することについて高く評価したいと思います。

 一方で、野田首相は9日、関西電力大飯原発3・4号機の再稼働実施を表明し、国民の命と安全を危険にさらそうとしています。東京電力福島第一原発事故の原因究明はされておらず、政府みずからがとりあえずの対策として提示した30項目の安全対策が実現されるのは3年先です。これでどうして安全だと断言できるのでしょうか。安全神話の復活は許されません。5月5日に北海道の泊原発がとまり、全原発が稼働を停止したことでわかったことは何か。それは、この国は原発がなくてもやっていけるということだと思います。このまま夏になれば、原発がなくても乗り切れることが全国民的にわかってしまう、その前に何としても再稼働をやってのけたいという考えが透けて見えます。政府と電力会社は電力不足を言いますが、その具体的根拠は何も示されていません。財界の言いなりに国民を脅して再稼働を進めることは許されません。

 以下、武蔵野市から原発ゼロの動きを広げていく必要があるという立場から質問したいと思います。

 1点目の質問です。市長がこの脱原発をめざす首長会議に参加したことによって、どのようにして原発を日本からなくしていく展望を開いていこうと考えているか、市長の積極的な見解を伺います。

 2点目の質問です。原発をなくすためにこの武蔵野市からどういうメッセージを発信する必要があると考えますか。また、武蔵野市環境基本計画の見直しにどのように生かしていくつもりかを伺います。

 以上、大きく3つの点につきまして市長の答弁を求めまして、壇上からの質問を終わります。

◯市 長(邑上守正君)  それでは、橋本しげき議員の御質問にお答えしてまいります。

 社会保障と税の一体改革の影響等についてということで、最初に、消費税の問題です。消費税増税は百害あって一利なし、暮らしも景気も財政も壊すといったような御意見をいただいていますが、市長の認識はということであります。

 1997年の経済状況というのが、前年度までの景気回復傾向から一転して停滞状況になったという認識をしているところでございますし、これは一つは消費税引き上げに伴う駆け込み需要後の反動が起きた、つまり、買い控え等もあったということもあるし、消費税引き上げ自体、あるいは特別減税の終了による国民の負担増、あるいは大型の金融機関の経営破綻による家計・企業心理の冷え込み、アジア通貨危機などによる経済混乱、さまざまそのような状況が複合的に重なったのではないかというふうに考えているところでございます。このような複合的な要因から、税収の大幅な減少を招き、かつ借金の増大となったというわけであります。複合的な要因が原因だというふうに思っておりますが、その中でも消費税も少なからず経済にインパクトを与えている一つの要因であるというふうに認識をしているところでございます。

 一方、急速な少子高齢化という状況の中で、年金、医療、介護、少子化対策などの社会保障の経費の財源を確保すること、社会保障制度の充実・安定化を行うこと、これも必須であるというふうに認識をしているところでございます。

 こうしたことから、消費税増税に際しましては、景気動向も見ながら、経済への影響を抑えて成長させる対策を行うことが必要だというふうに思っています。経済への影響、社会保障の財源問題、さらに逆進性の課題もいただいておりますけれども、そのような逆進性の課題もあるわけでございますので、慎重に丁寧な議論を重ねていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。

 消費税増税の武蔵野市に対する影響、それから消費税の逆進性に対する見解でございますが、消費税の増税を行う場合は、やはり所得の低い方たちほど税負担が重いとされる逆進性の問題、これが課題だというふうに認識をしてございます。現在、国でもその逆進性の課題を解決するというようなことを検討されているようでございますが、軽減税率の制度の検討、あるいは低所得者への税還付を行う給付付税額控除などの対応策が議論をされているというふうに認識をしているところでございます。さまざまな議論があるものの、現実としては、消費税は困窮する世帯にも一律に負担を求めてしまうということもあることから、税率引き上げに際しては、このような世帯への負担増に配慮が必要だというふうに思っています。こうした観点から、消費税率の引き上げに際しては、逆進性緩和策などをしっかりと議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。

 武蔵野市への影響ということに関しましては、他の議員からの御質問にお答えしておりますけれども、24年度予算ベースで一般会計で9億6,000万円、特別会計で1億4,000万円、あわせて11億円が歳出増というような推計をしているところでございます。

 次に、年金に関する課題を指摘いただきました。年金の支給額の引き下げや保険料の引き上げ、支給開始年齢先送りなどの計画、これは財源確保の問題も含めた持続可能な年金制度のための対策であるというふうに考えられますが、年金に対する国民の不信、不安の声が多くあるわけでございまして、説明が十分になされていないのではないかなというふうに思います。現在、現行制度の手直しという位置づけで最低保障機能の強化を含めた年金機能強化法案が国会に提出されておりますので、今後の国会審議の動向を注目していきたいと思っています。また、国に対しましては、最低保障年金制度を含めて信頼できる年金制度の確立に向けての要望を市長会を通じて行っておりますので、その実現のための要望は引き続き行っていきたいというふうに思っています。

 次に、子ども手当に関するお尋ねでございますが、新児童手当というのですか、子ども手当が幾重のいろいろな検討を終えて見直されたということであります。家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としているということと、中学校修了前までの児童の保護者を対象に支給をされる手当ということで、恒久的な制度として確立できたことについては一定の評価をしたいなというふうに思っています。ただ、額につきましては、一律の給付はばらまきであるというような批判もあった。また、そもそも財源の話もあったというようなことから、現行の金額となったということでございますので、これはいたし方ないなと一定の理解をするところでございます。

 ただし、現金給付というのは、国が国民に対してひとしく行っていくべき政策であるというふうに認識をしておりますので、また、市は地方として具体的な個々の地域に応じたサービスを提供していくものと考えておりますので、児童手当そのものについては基本的に国が財源も含めてすべて行っていただきたい、担うべきだというふうに考えておりますので、この間、要望も出しております。来年度に向けた市長会としての重点要望の一つとしてこの課題も取り上げていきたいというふうに思っております。

 次に、市内での大型マンション建設に絡むお尋ねでございます。1点目で、西久保3丁目の例、今、その施設の前面に建設反対という看板を掲げられたところがございますが、市は建設事業者にどのような指導をするかということでございます。計画地の用途地域は第一種中高層住居専用地域、中高層住宅を建築することを想定して指定をしている用途地域でございます。計画されている共同住宅は5階建てということから、この用途地域にかなう計画であるというふうには理解をしておりますが、以前の建物が3階建てということもあって、その以前の状況からかなり状況が変わるということに対して大変異議が出されている、そのような現状が変わっていくということに対して異議が出されたというふうに認識をしております。周辺地域につきましては同様な用途地域でございます。反対看板を出されている施設があるところも用途地域としては同じ地域でございまして、第一種中高層住居専用地域ということで、その施設も今現状では5階建ての建物ということでございます。8メートルの道路を挟んで、ある程度は離隔もあるというふうには思いますが、階数や規模の縮小については、なかなか市としての指導は難しい状況だというふうに認識をしてございます。現在、調整会が開催されておりますので、引き続き、特にその離隔などに関する調整事項が引き続き行われるというふうに考えておりますので、それを見守る必要があるというふうに思っております。ただし、その中で、富士山の眺望が遮られるといったような理由によって階数削減を求められた経過もございますが、それは調整不能との結論で調整を終了しているというふうに認識をしてございます。

 次に、今まで行われてきた調整会についてどのように評価をしているのかということでございますが、指導要綱の時代には、近隣関係住民と開発事業者の調整を図る場としては、紛争予防条例に基づくあっせん・調停しかなかったわけでございます。双方からの申し立てがあって初めて開催されるという点や、その場が非公開だというような点など、まちづくり条例に基づく調整会とは大きく異なっていたのではないかなというふうに思っています。現在の調整会は、少なくとも開催請求を受けた市長が開催を決定した場合には、必ず開発事業者を話し合いの場に着かせることができること、内容が公開で開催されること、そして議論の経緯を知ることができて問題点を共有できることなど、地域のまちづくりを考える上で非常に有効な役割を担っているのではないかなというふうに考えているところでございます。

 ただし、課題としましては、調整会はあっせん・調停とは異なりまして、近隣関係住民と開発事業者の歩み寄りの可能性を探る場ということでございますので、両者の主張が平行線をたどって調整不能で終了することも、これはあるという状況でございます。特に、建物の階数あるいは規模などにかかわる調整事項については、事業者側の歩み寄りの余地がなかなか少ないという、その結果として調整不能となってしまうことが多いという状況にあるというふうに認識してございます。

 次に、11の事業のうち市長意見が3件で少ないのではないかというような意見をいただいていますが、市長の意見書というのは、まちづくり条例第38条及び第44条に基づく意見書になりますけれども、提出された計画が、市が実施するまちづくりに関する施策等に照らして不適切な計画であると考えられる場合、あるいは周辺に与える環境負荷が客観的に見て著しく大きいと判断する場合に提示をしておるところでございます。意見の提示に当たりましては、場合によりましてまちづくり委員会の意見も伺いながら、客観的な私の判断に基づき提示していくものでございます。公平性の点からも、近隣関係住民の方々が建設計画の見直しを求めているからといって意見を提出するものではないというものでございます。

 次に、建物の高さの最高限度の導入に関する基本方針を提案しておりますけれども、基本方針案が実行されればどのような効果があるかといったようなお尋ねでございます。建物の高さの最高限度制限の導入の目的というのは、著しく突出する建築物を規制し、まち並みの維持をしていこう、それから住環境の保全を図ることを目的として高さ制限を導入しようということでございます。このような建物は、まちづくり条例の手続を行っている物件の1割以下になるものと思われます。現在、想定では5%程度におさまるものというふうに思っております。近隣関係住民から計画の見直しを求められるケースというのは、決して建物の高さが著しく突出しているからということではなくて、それに関係するかもしれませんけれども、日影や圧迫感、あるいは離隔といったような観点での改善要望が多い状況でございます。高さ制限限度を導入した後においても、現在と同様の議論、圧迫感の問題、日影の問題、離隔の問題、これはその問題から要望が出されるものというふうには考えているところでございます。

 乱開発を防ぐには地区計画の制定を積極的に呼びかける必要があるのではないかということでございますが、おっしゃるとおり、その地区計画につきましてはぜひ前向きに導入をし、制度の活用を図っていただきたいというふうに思っております。その一つとして、まちづくり条例はそのためにも定めたものでございます。積極的な活用を図っていただこうということで、まちづくり条例の枠組みの中で地区計画の提案をしております。地区まちづくり計画も踏まえて地区計画を大いに活用していただきたいという趣旨での条例制定もございましたので、その条例の活用も含めて、今後も一層地区計画の活用については大いに啓発をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 最後のお尋ねで、原発ゼロを進めることについてということでございますが、原発ゼロをめざす首長会議では、安全な社会を実現するために、新しい原発をつくらない、そしてできるだけ早期に原発ゼロにするといったような活動方針を掲げておりますので、それに賛同するということで加盟をした経過でございます。原発に頼らない社会を目指すとともに、再生可能エネルギーの推進に力を入れていく活動に参加をしていきたいというふうに思っています。原発ゼロにする取り組みとしましては、国としてはやはり国策として再生可能エネルギーの拡大の方向にかじを切ること、エネルギーシフトしていくこと、これをぜひこれからも首長会からは発信をしていきたいというふうに思っています。

 原発に依存しない社会を目指すには、やはり速やかに再生可能エネルギーを地域政策としても実現することを進めていかなければいけないという認識をしてございます。市としましても、長計あるいは第三期環境基本計画に基づきまして、再生可能エネルギーの活用を進めること、あるいは環境配慮行動によるエネルギー使用料の削減など、原発に頼らない社会に向けたさまざまな活動を推進していきたいと思っています。

 市としてできる施策も推進をし、次期の環境基本計画の見直しの時期にも反映をしていきたいというふうに思っております。

◯24番(橋本しげき君)  1番目の社会保障と税の一体改革の影響についてですが、今回の中身というのは非常にわかりやすい中身だというふうに私は思っているのですね。つまり、社会保障のために消費税だということがずっと宣伝されてきたのだけれども、しかし、実際今回やろうとしているのは、社会保障はあれもこれもどんどん悪くなる、増税だけがのしかかる。今度の密室談合によって、増税は決めてしまうけれども社会保障についてはどうなるかわからないという、こういう形ですから、非常にわかりやすいというふうに私は思っているのですね。しかも、消費税率が10%になれば13.5兆円の増税になります。そのうち社会保障の充実に使われるのは2.7兆円だけなのですね、政府の言っている数字で。しかし、2015年までに年金給付は2兆円減らす、子ども手当は4,000億円削減、それから70歳から74歳までの医療費の負担増は1,900億円、介護利用料の負担増が800億円で、あわせて社会保障の改悪分が2015年までに2.7兆円ですから、その社会保障の充実に使うという2.7兆円がそっくりそのまま社会保障の改悪と相殺されて、結局1円も社会保障には増税分が回らないというのが今回の本質だというふうに思います。消費税が導入された89年からの24年間で見ますと、国民が払った消費税の累計が251兆円あるのですが、同じ期間に法人税は233兆円減っている。所得税、住民税も金持ち中心に202兆円減っている。だから、消費税の増税分が法人税や所得税、住民税の税収減の穴埋めにそっくり使われて、結局1円も社会保障に使われていないというのが私は実態だと思います。

 このあたりは国政との関連がありますので、この場では余り深くやりませんけれども、ただ、市長に一つだけ聞いておきたいのは、社会保障の安定化が必要だという答弁がさっきあって、私も社会保障の安定化は必要だと思いますが、しかし、その財源として消費税がふさわしいのかという話ですね。実際に消費税というのは、私が今言ったように、社会保障には回されないで、かえって無駄遣いが拡大しているというこの実態を踏まえて、社会保障の安定化というけれども、消費税がふさわしいのかという、逆進性の問題もさっき言いましたけれども、その点について市長の認識をもう一度聞いておきたいと思うのです。それをお答えください。

 それから2つ目に、大きな2つ目でマンション計画の話ですが、調整会について聞きまして、有効な役割を果たしていると。私も調整会を何度かいろいろ傍聴しまして、まあうまくいっている場合もあると思います。だから、調整会という仕組みを今回まちづくり条例の中にできましたのは、私は非常によかったというふうに基本的には評価を私もしたいと思っているのです。ただ、課題についても、市長が今言われたというのはそのとおりで、調整不能という形で終わってしまうということは幾つもあるということですね。

 それから、私は2010年6月16日の一般質問で調整会のあり方の改善について聞いたのですけれども、そのときは、調整会というのは中立な機関で一方の市民の意見のみが反映される場ではないという答弁がそのときあった。その後、2011年3月18日にまちづくり委員会が武蔵野市まちづくり委員会活動のまとめというのを出したのです。そこには調整会にやはり課題があるということをまちづくり委員会自身が報告書で出しているわけですね。例えばこういうことを言っているのですね。現行の調整会の運用では近隣関係住民と事業者双方が歩み寄る機会やまちづくり委員会委員が双方の意見を十分に受けとめて調整案を検討する機会が限られていると思われる。その結果、双方間で合意に達しなかった場合、特に開催請求側にとって調整結果への不満とは別に、調整会の意義や役割の面で不満を残している面があると感じられた。今後も調整会の開催回数のあり方や、事前の論点整理方法等に関して、調整会を運用していく中で検討の必要があると考えるというふうに、まちづくり委員会自身が出した報告の中で、今後の課題について言っているわけですね。

 ですから、こういうものを踏まえて市としては、先ほど市長も課題があるという認識があったので、どういう方向でこれを、解決になるかわからないけれども、改善の方向へどうやって踏み出していこうとしているのかということをここでひとつ伺っておきたいと思いますので、それを御答弁ください。

 それから、市長意見をもっと積極的に出していただきたいということを私は言ったのですが、私はやはり積極的に出していただきたいというふうに思っているわけです。それで、市長は先ほど、市のまちづくりの方向性のこととか、それから著しく問題があるような場合は出すけれども、それ以外は市民がいろいろ意見を言っているからといって必ず出すわけではないというような答弁だったわけですが、ぜひもう少し、やはり私は踏み込んで意見表明していただきたいというふうに思っているわけです。開発事業者と近隣関係住民が意見が一致しない場合に、どっちが強いかといったら、事業者のほうが強いわけですよ。合法だからいいではないかということで計画を頑として変えないという、そういう場合が多々見られるわけです。結局住民側が泣き寝入りするということになる場合が多いと思うわけです。そのときに、私は、市長がどちらの側に立つのかというのが問われると思うのですね。だって、放っておいても事業者の側は粛々とやるわけです、法律にのっとって。もちろん、市長意見を出したからといってどれだけ反映されるかは、それはわかりませんよ、意見ですからね。合法的なものだったらそのまま行ってしまうかもしれない。しかし、市長が意見を出すということは、やはり大きなインパクトがあるというふうに思っているわけです。だから、それは積極的にぜひやっていただきたい。

 私は一つ、今、西久保3丁目の例で11階建てのマンションのほうですが、調整会がありましたね。大規模開発基本構想の調整会をやって、その後に市長意見が出ているわけですよ。その市長意見が非常にいい意見なのですね。こういうふうに書いてあるわけです。大規模基本構想にかかわる調整会において、計画地西側の近隣関係住民からも日影やプライバシーの保護などの観点から計画の変更を強く求める要望が出されておりますとした上で、事業者の建設計画に対して市長意見でこう言っているわけですね。周辺環境への配慮が十分とはいえないことから、さらなる検討を行った上で、敷地境界からの離隔の拡大など、周辺環境に配慮した計画への変更をお願いしますというふうに市長意見で出している。実はこれは、計画西側の住民が求めている一番のポイントをずばり市長意見で言っているわけですよ。だから、こういういい意見を出しているという、これは一番最近の例ですけれども、だから、そういう例があるので、ぜひこういうことを積極的にもっとやっていただきたい。この件に関して事業者の回答は、私は非常に不満の残る回答だけれども、しかし市長意見はいい意見を出しているわけだから、そういうものをもっと積極的にやっていただきたいとやはり私は思うわけです。その件についての今後の積極的な方向性について、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

 それから3つ目の原発ゼロは、総務委員会に陳情が出ていますので、そこでまたやりたいと思います。
 答弁を求めた点についてよろしくお願いします。

◯市 長(邑上守正君)  まず、社会保障と税の一体改革の中で、社会保障の中身自体もすごくわかりづらくなってしまいましたね。ここに来て、最終局面に来ていろいろな協議が進んで、いろいろまた変わってきてしまっていますので、私は国民には直接それが正確には伝わっていないのではないかなというふうに思っています。社会保障の中身自体はもっと慎重に議論・検討すべきではないかなというふうに思っています。一方で、そのような社会保障を検討するに必要な財源というのは、やはりきちんとした確たる財源を確保すべきだという認識をしておりますので、その一つとして消費税というのがあるのではないかなという私は認識をしております。

 この間、私なりにいろいろ見てみますと、意外なことに、消費税そのものについては景気に余り影響、左右されずに、この間ずっと10兆円内外で十数年間推移をしているのですね。それを考えますと、単純に税率を上げるとそのまま消費税自体はふえる、ある程度一定的な財源にはなり得るといったようなことも消費税ということを考えられた背景にあるのではないかなというふうに思っております。今、国のほうでも議論をしておりますので、十分に注目をしていきたいというふうに思います。

 それから、調整会につきましては、数年たちまして幾つかの事例が積み重なってまいりました。調整会の根拠条例のまちづくり条例についても、これは見直しをしていくといったようなことをうたってございますので、5年に一度でしたか、見直しをするということをうたっていますので、その時期に合わせて調整会のさまざまな課題解決が可能であれば、そういう条例の中でも、制度の中でも見直しをしていきたいというふうに思っています。

 市長意見の提出というのは、これはあくまでやはりまちづくりの視点から、あるいは周辺環境の視点から行っておりますので、そのような観点から必要に応じて提出をしていきたい、意見を表明していきたいというふうに思っています。

◯24番(橋本しげき君)  消費税は景気に左右されずに一定の財源が得られるということですが、それは物を買わないと生きていけないですから、それは一定のものは入ってくると思いますよ、税金を集める側としてはね。しかし、税金を納める側としては、大変な暮らしの中で収入がゼロでも物を買えば必ずかかるという、そこがやはり税金を納める側の視点というのが大事だと思っていますので、これは意見ですけれども、調整会についても、ぜひ今後積極的に市長意見もよろしくお願いしたいと思います。
                                 
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