●一般質問「福祉施策の充実について」(2013年2月28日) しばみのる
○25番(しばみのる君)  それでは、一般質問を行います。

 今回の一般質問のテーマは、福祉政策の充実について、大きく2点、質問させていただきます。1点目は介護保険制度の改定について、2点目は社会保障の充実についてです。

 まず最初に、通告書の数字が一部異なっている箇所がございますので、読みかえていただくことをお願いしたいと思います。
 まず初めに、昨年末総選挙が実施され、民主党政権から自公政権へと政権交代をして、第2次安倍内閣が発足しました。安倍政権は、来年度の予算編成に先立ち、デフレ経済から脱却するため、緊急経済政策を発表いたしました。その内容は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢をもって、長引く円高・デフレ不況から脱却をして、雇用や所得の拡大を目指すという政策提言です。この政策に基づいて出されたこのたびの予算案は、大企業には法人税減税を推し進め、反面、年金や生活保護などの社会保障を切り下げ、そして消費税大増税という、国民の暮らしを破壊する過酷なものです。

 私は、こうした、政府が大企業など財界中心の政策を進める一方で、国民には社会保障費の削減を強いるという、国民生活を破壊する政治が進行する状況の中で、市民が安心して武蔵野市で暮らし続けられるには、市が国の悪政の防波堤となって、憲法25条と地方自治法第1条の2の本旨に基づき、市民の命と暮らしを守る役割を果たすことがますます重要になってきたと考えます。

 福祉政策は、国の制度にもかかわる大きな課題であり、市民の命と暮らしに、生活に直結する重要な問題です。邑上市長より一層の努力をお願いして、以下質問をいたします。

 質問の1点目は、介護保険制度の改定について、介護保険の改定に伴う利用者、事業者の現状打開についてです。

 昨年4月に介護保険制度の改定が行われました。介護の現場では、改定に伴い、介護利用者から悲痛な声が上がっています。例を挙げますと、介護保険利用者から、「ヘルパーさんには大変お世話になっています。今回サービス時間単位が短くなったことで、ヘルパーさんとの話が余りできなくなった。いろいろお願いしたくても言えなくなってしまった。だから、つい我慢するということになってしまう。以前は一緒に買い物をしていただいていた。それが唯一の楽しみだったのに、できなくなってしまった。足腰もどんどん悪くなってきている。でも、利用料などについて考えると我慢するしかないと思ってしまう。本当につらいです。」という声や、「ヘルパーさんと話す時間がなくなってしまった。洗濯してもらっても、干す時間がなく、自分で仕方がなく、つらいけれども苦労して干します。食事でてんぷらを揚げてもらっても、片づける時間がない。改定前までは、おふろや部屋の掃除もやってもらっていたが、ところが改定後では、食事づくりを頼むとそれができなくなってしまった。本当につらいです。」など、切実な声を、お話を聞きます。

 また、介護ヘルパーに、改定後の状況について伺うと、「介護保険の改悪でサービスの時間単位が短くなったことが最も過酷なことだと思います。業務時間に追われてしまい、大変忙しくなった。何よりもヘルパーが利用者に声をかける余裕がなくなり、利用者は気を使い、物を言わなくなってしまったことが大きな問題であると思います。利用者の体調の変化や生活の変化を確認することが会話には欠かせないことだと思います。私たち介護者として、サービスにおいて大切にしなければいけないことは、利用者と介護者とのコミュニケーションです。この関係が壊れてしまうと介護ができないのです。サービスの時間単位が短くなったことで、介護の業務が減るのではなく、逆に大変忙しくなりました。そして、業務が時間内で消化できなくなり、仕事が残ってしまうのです。このお宅の次の訪問に時間の余裕があれば、ついサービス残業をしてあげます。そうしないと利用者に余分な仕事を押しつけてしまう、そんなことはできません。また、残業は自費になりますなんてことは、とても言えません。」と、苦悩を打ち明けられました。

 このように、介護保険の改悪による影響により、ヘルパーの業務を過酷にし、その上、支払われる賃金は1割から2割も少なくなっていると言っています。このような労働環境なので、職場を去ってしまうヘルパーがふえるばかりです。これでは介護の現場の過酷な状態はおさまることはないと、心配していました。

 介護事業者の方からは、「訪問介護は利用者の在宅生活には欠かせない生活援助であります。そしてヘルパーさんは、かけがいのない存在なのです。今回のこの改悪は、高齢者にとっては生活の危機を、事業者にとっては経営の危機を招く結果となっています。」とおっしゃっていました。

 今回の改悪は、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」介護保険法1条を掲げた介護保険が、命と暮らしを脅かす事態を招いていると言わざるを得ません。命綱とも言える生活援助サービスの短縮について、早急な見直しと、事業者の経営危機打開について、国に対して独自に、または東京都市長会を通じて強く働きかけていただくことを要請いたしますが、いかがでしょうか。市長の見解をお伺いいたします。

 2点目に、介護施設の拡充についてです。最近、介護認定を受けられた方の家族の方から、介護について相談を受けました。お話では、「母と2人暮らしです。85歳になる母が突然自宅で倒れ、救急搬送されました。近くの病院にあきがないということで、家から遠い病院に搬送されました。入院した先が急性期の病院ということで、病状が安定されたら療養型病院などに転院をしてくださいと言われました。仕事をしながらの病院探しはとても大変です。入院先の病院でも転院先を探してはいられていますが、自宅の近くでは難しいと言われました。生活のことを考えると、仕事をやめることはできません。近くの療養病院や老健施設を探しても、なかなかあきがないという状況でした。近い将来を考えて、特養ホームを申し込もうとしたが、たくさん待っておられる方がいることを聞き、唖然としました。これでは、介護に疲れて病気になったら大変、もしもひとり暮らしだったらと思うと、暗い気持ちになりました。武蔵野市で介護を受けることの厳しさが身にしみました。」というお話でした。

 本来なら、医療も介護も、いつでも、どこでも必要なだけ、お金の心配なく利用できる制度であるべきです。医療も介護も社会保障として国が責任を持ち、だれもが平等に保障される制度であれば、専門性を生かした役割分担等、連携、協働が実現するはずなのです。ところが、診療報酬も介護報酬も給付の抑制だけを目的とした、金の切れ目は命の切れ目になっていると言わざるを得ません。自助や互助を強調し、きずなや助け合いを美化して、公助の責任をあいまいにしていると考えます。市の資料によると、平成23年度、平成22年10月1日現在の特養ホームの待機者が498名です。そして65歳以上の高齢者被保険者数は2万8,349人、平成24年3月31日現在。市内の特養ホームは6カ所、入所できる人数は322人、特養ホームなど公的な介護施設を望む人の数は、健康福祉総合計画の2012年の高齢者実態調査77ページに記載されている割合31.9%で計算すると、約9,043名となっています。

 武蔵野市においても高齢化が進む中、高齢者が置かれている現状を考えると、早急に特養ホームなど高齢者の施設の増設が急がれると考えます。引き続き高齢者対策を進める上で、市長の積極的な対応を伺います。

 質問の1つ目として、社会保障の充実について。

 1点目、生活保護費の減額についてです。政府はこのたび、2013年度から生活保護費を引き下げることを検討しています。生活保護費は国民の生存権を保障し、生活を維持する必要最低限の費用です。社会保障審議会生活保護基準部会の報告では、生活扶助について、一般低所得者世帯の生活費を上回っているケースもあるという、機械的な試算を公表いたしました。高齢者の単身者世帯や夫婦2人世帯と比較した試算では、生活扶助費が低所得者世帯の生活費を下回っています。また一方、夫婦2人子ども2人の4人世帯では、低所得世帯の生活費より生活扶助費のほうが上回っていますが、このケースは受給者世帯の1%にも満たない世帯数です。つまり、生活扶助費全体の切り下げの根拠にはならないのであります。

 生活保護を受けている方から、「生活費が少ないため、親戚や親しい友人の葬儀にも出席できない。」との悲痛な声も聞いています。最低賃金法では、生活保護基準との整合性に配慮すると明記されており、生活保護費引き下げは最低賃金の引き上げを阻害しかねません。また、住民税の非課税限度額とも連動しているため、新たに課税される世帯が広がることにもなってきます。さらには、生活保護費引き下げは就学援助の対象者や都営住宅の家賃減免対象者についても大きな影響をもたらすことにより、市民生活に深刻な打撃を与えることは明らかです。

 そこで、質問をいたします。

 1点目、市民生活を守る立場から、生活保護改悪を直ちにやめるように、市長として、国に対して強く要望をしていただきたいと思います。市長の見解を伺いたいと思います。

 2点目に、時給最低賃金は、武蔵野市は東京都と同額の850円としていますが、日本共産党は、当面、時給最低賃金は1,000円に上げることを要求して、努力しています。市長は低所得者の生活を守る立場に立って、東京都に対して最低賃金の引き上げを働きかけることと、武蔵野市独自で関係団体に働きかけ、最低賃金の引き上げに努力することを要望しますが、市長の見解をお伺いいたします。

 次に、2点目として、国に対して基本合意の全面実施と障害者総合福祉法の制定への意見書を上げることなどについて。
 日本の障害者数は、身体、知的、精神障害者と合わせて約750万人、2011年障害者白書、武蔵野市の障害者数は、愛の手帳などを持っている方の人数を見ると、その重複を含めて約5,000人となっています。武蔵野市では、就労支援、相談支援、施設整備支援など、障害者支援に努力されていることと思います。これらのことについて評価するところであります。しかし、障害者の置かれている環境は、雇用や生活費、家族への負担など、非常に厳しいものであることは明らかです。その根源は、障害者の社会的支援である法整備ができていないことが大きな要因であります。

 障害者を持つ家族の方に伺うと、昨年、新法が制定されたが、何も変わらないというのが率直なところです。配偶者に一定の収入があると、例えば作業所に勤めて8,000円の収入をいただいても、施設利用や介助などを利用すると1割負担は変わらず、1万円も払うことになります。所得の低い人には過酷な制度です。「新法で生活が変わると信じていたが、基本的には何も変わっていない。」と語っていました。

 障害者の生存権を侵害する、低所得者であろうと所得に関係なく受けたサービスの内容に応じて支払うため、障害が重い人ほど負担が大きくなる、この応益負担を根幹とする障害者自立支援法を廃止して、新しい法律をつくることを政府が約束した基本合意締結から、ことしの1月で丸3年となりました。その基本合意とは、「自立支援法が、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と、応益負担など生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」として、国が心から反省を表明して、同法の廃止を明記したものです。さらに、新法を制定するに当たり、政府は、障害福祉政策の充実は、憲法などに基づく障害者基本的人権の行使を支援するとうたいました。

 基本合意は、すべての障害者の権利を保障する障害者権利条約の理念に添ったもので、今後の国の障害者政策の羅針盤となるべき内容です。基本合意を政府が受け、文書を交わし、違憲訴訟は和解をいたしました。政府は、障害者が加わった障がい者制度改革推進会議を設置して、そのもとに置かれた総合福祉部会は2011年、障害者を保護の対象から権利の主体へと変換することなどを理念に据えた新法制定に向けて、骨格提言を発表いたしました。ところが、政府はその後、自立支援法の看板をかけかえただけで、応能の負担ではなく、応益負担などの根幹部分を温存した障害者総合支援法を、わずかな審議のもとで、昨年、成立をさせました。このことは障害者訴訟団と障害者団体などとの約束を踏みにじり、障害者を再び深く傷つけたことの政府の責任は重大であると考えます。

 障害を本人の自己責任ととらえて、過酷な応益負担などを強いる障害福祉政策への逆戻りは、絶対に許せるものではありません。障害者と家族の、長い間の本当に苦しい闘いで手にした基本合意を踏まえ、憲法25条に基づき生存権が保障されることが重要であることは言うまでもありません。政府は、直ちに基本合意と骨格提言の完全実施の立場に立ち、約束した障害者が求める障害者総合福祉法を、政権がかわろうと実現するべきです。

 今、障害者団体は、各自治体で意見書を上げてもらうことを強く望んでおります。そこで私は、市長が障害者とその家族の立場に立って、国に対して意見書を上げることなど、積極的な対応をとられることを強く要望します。いかがでしょうか。市長の見解をお伺いします。

 以上、すべての項目について、邑上市長の積極的な対応を期待し、壇上からの質問を終わります。よろしく御答弁をお願い申し上げます。

◯市 長(邑上守正君)  それでは、しばみのる議員の一般質問にお答えしてまいります。

 福祉施策の充実についてということで、介護保険、生保、障害者福祉というような大きな項目でお尋ねをいただきました。

 まず、1点目の介護保険制度の改正に関するお尋ねでございます。生活援助サービスの短縮についての課題を御指摘いただきました。平成24年度改定で生活援助の時間区分が再編されまして、生活援助の時間区分が見直されたわけでございます。ただ、いろいろ調べていきますと、事業者の収入がこの改正により必ずしも減になるとは限らない報酬規定と、また、今回の時間区分の見直しについては、市民にとっても利用料が下がるようなケースもあるなど、メリットにもなる仕組みでもあるというふうに認識をしているところでございます。

 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議、これは昨年、24年の3月に開催されたものでございますが、その場においても、「今般の見直しはあくまで介護報酬における評価を行う際の区分の変更であり、これまで提供されてきたサービスを、利用者の意向などを踏まえずに新たな時間区分に適応させることを強いるものであってはならず、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、利用者のニーズに応じたサービスを提供する趣旨であることに十分留意されたい。なお、訪問介護の生活援助の時間区分の見直しの内容に関し、一部に、すべてのサービスを45分未満で提供しなければならないかのような誤解をされている面があるが、見直し後においても、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、現在行われている60分程度のサービスを実施することは可能である。」と、このような説明をしているところでございます。

 また、厚労省は、次期介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的に、介護従事者処遇状況等調査を実施し、来る3月に介護事業経営調査委員会に結果の公表も予定しておりますので、こういった厚労省の今後の動向にも注視をしていきたいというふうに思っています。

 また、現状の課題につきましては、御指摘のような点も含めて把握に努めて、必要に応じまして、その対策については検討していきたいというふうに思っています。

 2点目で、特養ホーム等の高齢者施設の増設をというような御意見でございます。御案内のとおり、過去において、例えば第3期、第4期の介護保険事業計画においては、中長期的な視点から施設整備を重点的に行ってまいりました。結果として、平成20年5月にはケアコート武蔵野、22年5月にさくらえん、22年7月にあんず苑、これは老健ですけれども、21名定員です。等の施設整備を行ってまいりましたが、第5期介護保険事業計画では、できるだけ在宅生活を継続するためのサービスを重視し、在宅ケアのレベルアップのために地域密着型のサービスの充実を図っているところでございます。

 保険給付額が増加すると、それに伴い保険料も増加するといったような現行の介護保険制度でございますので、その辺も十分に配慮しなければいけないわけでございますが、また、高齢者人口の増加により、今後も介護費用の全体的な上昇が見込まれる中で、給付と保険料のバランスに配慮しながら、課題として指摘いただきました施設整備につきましては、次期第6期介護保険事業計画の中で検討してまいりたいというふうに思っています。

 次に、生活保護費の減額等についてというお尋ねでございます。生活保護の今回の見直しは、生活保護制度を見直すとともに、生活保護の適正化と生活困窮者の自立、就労支援などをさらに強化するための事業を実施するためのものと言われております。2013年度は5年に一度の生活保護費を見直す年でありまして、生活保護費の中核となっている生活扶助費の基準を見直す方向というふうに聞いているところでございます。また、生活保護基準、生活扶助基準が基準となって規定されているさまざまな制度があり、生活保護世帯でない低所得者層への影響が心配されるところでございますけれども、これに対しては、関係大臣との合意がなされ、低所得者層への影響が出ないよう調整がされると聞いているところでございます。

 今回の見直しは、国民の信頼にこたえた生活保護制度を構築するための国の見直しとされていますが、生活保護受給者及び低所得者の実態とあわせながらの国会での慎重な審議を期待したいというふうに思っております。

 次に、生活保護費の減額に関しまして、時給最低賃金に関するお尋ねでございます。地域別の賃金は、これは中央最低賃金審議会から示される額を目安にして、地方最低賃金審議会で、地域の賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分に参考して審議を行い、決定をするというような流れとなっております。地域別最低賃金は、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力を総合的に勘案して定めるものとされておりまして、労働者の生計費の考慮に当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護にかかわる施策との整合性に配慮することとされているところでございます。

 安倍首相は、去る12日に、経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体トップへ、賃金引き上げの要請を行っております。賃金が上昇しないと消費が伸びず、景気の本格回復も難しいといったような話でございます。

 最低賃金は審議会で決定することではあるが、市としても最低賃金の動向を注視していきたいというふうに考えております。

 次に、最後の御質問で、障害者総合福祉法の制定に関する御質問でございます。御案内のとおり、この4月より障害者総合支援法が施行されることとなっているところでございます。この支援法は、法に基づく日常生活、社会生活の支援が、共生社会を実現するといったようなことを目的として、社会的障壁の除去に資するようなことを総合的、計画的に行っていくといったことを法律の理念にも掲げられたという点と、障害者の範囲に難病にかかっている方々も加えることになったというのが、新たな点ではないかなというふうに思っております。

 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会による60項目に及ぶ骨格提言、これは障害当事者の視点を踏まえて、法の理念に障害者を保護の対象から権利の主体への転換を確認する旨を規定すべきなどの画期的な内容が含まれていたというふうに認識をしているところでございます。

 骨格提言については、障害者福祉制度における理想的な姿であるものの、さまざま、まだまだ検討すべき課題もあるのではないかなというふうに思います。障害者総合支援法も、ある意味大きな方向性は一致しているのではないかなと思っておりますので、法の施行後3年を目途に検討すべき規定も設けられていることから、今後、市としましても、総合支援法の見直しに向けてさまざまな課題を整理し、必要に応じまして、市長会等を通じて、今後の障害者福祉政策のあり方について意見提案をしていけたらというふうに考えているところでございます。

◯25番(しばみのる君)  御答弁ありがとうございます。

 今回の改定の内容で、私が先ほど壇上から説明したように、時間の短縮によって、すべてがこれによってということではなくて、例えば、全日本民主医療機関連合会が昨年8月から10月にかけて実施した調査では、この時間の短縮の見直しをしてほしい、困っているという方が、利用者、家族の方で約950件中451件と、半数近い数字が上がっています。また、各新聞等でもこのような数字が上がっていると聞いております。

 確かに、改定前では30分以上60分未満、60分以上という区分から、改定後は、20分以上から45分未満、そして45分以上へと変更ということで、特にこの問題は45分以上という、介護度が高い方、いわゆる重い方が大変苦労されると伺っています。つまり、今までは60分以上で90分までということで、介護扶助が実際は90分やっている方が、特に介護度が重い方は90分やっていると。しかしながら、改定後は45分以上になっているということで、費用単価は同じなのです。前回は60分から90分で単価は同じだったのですけれども、今回は45分以上ということで単価は同じなのです。

 ですから、事業者としては、これは90分はできないわけです。90分やるということは利用者が負担をしなければいけないという計算になってくるわけですから、事業者は是が非でも60分とか70分という短縮になるわけです。とはいっても、介護の利用者から90分やってほしいと言われた場合は、事業者が目をつぶるしかないのです。また、ヘルパーがその分サービス残業をするしかないという問題があるということを指摘したいと思うのです。

 今回の改正は、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる、生活支援を切れ目なく提供する地域包括ケアシステムの実現ということですけれども、現実はそうではないということの、乖離が余りにも大きいということが問題であると私は思います。これは、利用者と介護事業者が、結局お互い競い合いながら、利害を競争しながらやっていくという、まさに介護サービスが利用者に、あるいは事業者にしわ寄せをするという、そのもとでの改定だと私は理解します。ですから、全員ではないですけれども、介護度の重い方が大きな問題があるというふうに私は理解しています。ですので、やはりこういう給付の抑制を前提とした、入院から在宅だとか、医療から介護という、そういう方法ではなくて、やはり医療も介護も入院も在宅も保障するという、このことが私は重要ではないかと思います。

 ですから、ぜひともこの辺のことを理解していただいて、国に意見を上げる、そして市内においても、武蔵野市においても、このことをぜひとも改善するような施策をお願いしたいと思います。

 次に、施設のことですけれども、健康福祉総合計画の中では、介護が必要になったときに介護をしてほしい人という問いに対して、公的な介護サービスを求める方が、何と7割以上いらっしゃるのです。これはひとり暮らしの高齢者が多いからということです。そして、特別養護老人ホームを要望する人が3割以上、31.9%いらっしゃるのですよ。

 市長は以前から、特に吉祥寺地区では土地が高くて、なかなか施設が厳しいということでおっしゃっていましたけれども、そうはいっても、やはり498名が、22年ですから、現在においてはもう500人以上の方が希望しているという現実の問題があります。そして、もっと大きいことは、施設が増設されれば保険料が跳ね上がる、この制度はぜひとも国に対して、見直しをしていただきたいと思うのです。介護保険の利用者の方はおっしゃるのです、施設の利用を求めると保険料が上がるから我慢するしかないのだよと。この制度そのものがやはり見直しをする必要があると思いますし、こういう要望がある以上は、ぜひとも施設の拡充をお願いしたいと思います。

 続きまして、生活保護の引き下げについてですけれども、先ほどの市長の答弁では影響はないということですけれども、これはそうではないというふうに思うのですけれども、市としては、就援対象の問題だとか、都営住宅の利用料の減免対象者については影響はないということで理解してよろしいでしょうか。その辺のところを確認したいと思います。

 最後に、障害者の問題を取り上げたいと思うのですけれども、障害者総合支援法は骨格提言に基づいているという趣旨の御答弁をいただいていますけれども、総合支援法では、難病については何千という中の130病名しか対応していない。まして、骨格提言の60項目のうち1から2項目しか対応していない。そして骨格提言の内容については検討事項ということで、これは実行するとは何ともおっしゃっていない。総合支援法の考え方そのものは、基本的には障害者が生活するのに必要なことは本人、家族がやっていくべきだということ、本当に困った場合には制限しながら支援するという考え方が、やはり私は底辺にあると思います。ぜひともその辺のところを御理解していただいて、国への提言、そして総合福祉法が実現できるように、市長の要請をお願いして、質問を終わります。

◯市 長(邑上守正君)  1点だけ質問があったと思います。

 生保に絡めまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、関連して低所得者への影響が大変心配されるということもあるわけでございますが、現時点では、関連するさまざまな制度について関係大臣との合意がなされて、低所得者層への影響が出ないよう調整がされているということでございますので、この成果をちょっと見守っていきたいというふうに思っています。
                                 
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