●一般質問「国民健康保険税と介護保険制度について」(2014年9月3日) 橋本しげき
◯24番(橋本しげき君)  今回の一般質問、私は、高過ぎる国民健康保険税の軽減について、介護保険制度についての大きく2点の質問をいたします。

 まず大きな1点目に、高過ぎる国民健康保険税の軽減についてです。安倍自公政権による消費税増税などの負担増や社会保障制度の大改悪によって国民生活はますます大変になっています。国保加入者世帯の7割は、非正規労働者を初めとする被用者と年金生活者などの無職者です。厚生労働省の国民健康保険実態調査報告によりますと、国保加入世帯の所得は年々低下しており、1990年度には年276万5,000円だったものが2010年度には年141万6,000円になるなど、20年間で所得が134万9,000円も減り、何と51.2%へと約半分になっています。このように平均所得が大幅に落ち込んでいる一方で、国保税の負担率は上昇を続けています。2010年度の負担率は1世帯当たり額で平均所得の10%を超えました。低賃金労働が1,000万人を超えるワーキングプア、いわゆる働く貧困層を生み出しておりますが、社会保障の保険料ないし保険税が貧困に追い打ちをかけています。生まれたばかりの赤ちゃんにも一律で賦課される均等税、まさに人頭税が低所得世帯の貧困化を加速しております。

 また、国保税は住民税などと同じく前年度の所得に基づいて計算されます。そのため、会社を退職して年金生活となった人や、事業不振に陥った自営業者など収入が激減した人が多額の国保税を請求されることも矛盾となっています。高過ぎる国保税の原因は、国が国保会計への国庫負担を減らしてきたことにあります。国保は、低所得者層が多く加入している医療保険であり、国の手厚い援助がなければ成り立たない制度です。ところが政府は、1984年の国保法改悪で給付費に対する国庫負担を引き下げたのを皮切りに、国保に対する国の責任を次々と後退させました。その結果、国保会計の総収入に占める国庫負担の割合は、1980年度には57.5%だったのが2011年度には25.1%へと32.4%も減らされました。半分以下になっています。そのため、1世帯当たりの国保税は増加しています。国は、高過ぎる国保税の元凶である国保への国庫負担を計画的に増額し、1980年代の水準に戻すべきだと考えます。

 武蔵野市においては市民の24.8%が国保に加入しています。世帯割合で言うと、全世帯の31.9%、つまり3分の1に当たります。ですから、国保税のあり方は市民生活に大きな影響を与えることになります。高過ぎる国保税を軽減すべきであるとの立場から、以下何点か質問いたします。

 1点目は、武蔵野市の国保加入世帯の現状についてです。武蔵野市の国保税は、世帯ごとに定額を課す均等割と、所得に応じて徴収する所得割を足して計算されます。また、国保税の内訳は、医療分、後期高齢者支援金分、介護分の3つに分かれており、それぞれ均等割と所得割が課されています。2013年度版武蔵野市の国保52ページ以降を見ますと、全世帯税額負担図が掲載されています。これによりますと、医療分は限度額が50万円ですが、均等割のみを負担している世帯が37.2%、均等割に加えて所得割の負担が10万円以下の世帯が31.2%となっており、これらをあわせると68.4%の世帯が所得割額が10万円以下となっています。後期分は限度額が13万円ですが、均等割のみを負担している世帯が37.2%、均等割に加えて所得割の負担が2万5,000円以下の世帯が20.2%となっており、これらをあわせると57.4%の世帯が所得割額が2万5,000円以下となっています。介護分は、限度額が10万円ですが、均等割のみを負担している世帯が44.5%、均等割に加えて所得割の負担が2万5,000円以下の世帯が16.3%となっており、これらをあわせると60.8%の世帯が所得割額が2万5,000円以下となっています。これらの数字は、国保加入世帯に低所得者層が多いということを意味しています。ただ、今述べた数字は、所得階層別の国保加入世帯数の割合ではなく、税額の階層別の割合です。つまり、税額が10万円以下の世帯は何%という数字であって、所得が200万円以下の国保加入世帯は何%かという数字ではありません。

 そこで、所得階層別の国保加入世帯の現状はどうなっているかについて質問いたします。東京都における国保加入世帯の現状は、所得200万円未満が加入者の68.78%となっており、低所得者層が大多数となっています。武蔵野市における所得階層別の国保加入世帯数とその構成比率について伺いますので、お答えください。

 次に2点目は、国保税が高過ぎて払えない事態になっているという問題です。武蔵野市の2012年度決算で見ますと、市税の徴収率は94.7%であるのに対し、国保税の徴収率は71.4%です。これらはいずれも滞納繰越分を含む数字です。国保税の徴収率が市税の徴収率よりも23.3%も低いということは、国保税が負担能力を超えて高過ぎて払えないという事態になっていることを示しているのではないでしょうか。この点について市長の認識を伺います。

 次に3点目は、資格証明書、いわゆる資格証の問題です。国保税を滞納すると2年間の有効期限がある保険証にかわって、6カ月が有効期限の短期被保険者証、いわゆる短期証が発行されます。それでも滞納状況が改善されない場合、資格証が発行される場合があります。資格証というのは、単に国保に加入しているという証明をするだけのものであって、保険証ではありませんので、病院の窓口へ行っても医療費を全額払わなければいけません。つまり、窓口負担が10割になります。武蔵野市においては、この資格証の発行が2011年度から始まり、2011年度は17件、2012年度は20件、2013年度はさらにふえております。厚生労働省は、国会答弁でも、受診抑制はさせない、受診のため国保証が必要な人には保険証を渡すという見解を示しています。

 以上を踏まえて、以下、質問を行います。

 1つ目、国保税の滞納が続いている方に対しては、丁寧な納付相談に応じることを重ねることこそ必要です。資格証を発行する際、個々の被保険者の状況をどれだけ把握する努力をされているのか、また、資格証を発行する場合、どのような基準で発行しているのかを伺います。資格証の発行基準については、武蔵野市国民健康保険被保険者資格証明書等取扱要綱にありますが、機械的な基準で発行するのではなくて、個々の実態に寄り添った上での運用がされているのかどうかという趣旨でお聞きしたいと思います。

 2つ目、資格証の発行は受診抑制につながります。昨年10月1日の状況で見ると、多摩26市のうち9市が資格証を発行していません。武蔵野市でも資格証の発行をやめることを求めますが、市長の見解を伺います。

 次に4点目は、国保税の減免規定を拡大することについてです。武蔵野市国民健康保険条例第18条では、保険税の減免について規定がされています。減免対象になっているのは、貧困により生活のため公私の扶助を受ける者や、当該年において所得が皆無となったため生活が著しく困難となった者またはこれに準ずると認められる者です。このほかに、特別の事由がある者についても減免できることになっています。現在ある減免規定に加えて、子どもや障害者が被保険者の場合の均等割額を減免するなど、保険税の減免規定を拡充することを求めますが、見解を伺います。

 次に5点目は、医療費の窓口負担の減免制度についてです。国民健康保険法第44条では、保険者は一部負担金、これは医療費の窓口負担のことですが、を支払うことが困難であると認められる被保険者に対し、一部負担金の減免または徴収猶予の措置をとることができるとされています。厚生労働省が2010年9月13日付で通知した一部負担金の徴収猶予及び減免並びに療養取扱機関の一部負担金の取り扱いについての一部改正についてでは、新基準を示しています。この基準では、災害休廃業、失業などで収入が生活保護基準以下に急減し、預貯金が生活保護基準の3カ月以下の世帯で入院療養を受ける場合を、患者負担減免の対象とするとされています。また、この通知のQ&Aでは、市町村の独自基準が新基準より広い場合は、減免の対象を狭める必要はないとしています。新基準を超える減免を行うことも市町村の判断で可能だとしています。武蔵野市において医療費の窓口負担の減免措置を拡充することを求めますが、見解を伺います。

 次に6点目は、国保の都道府県単位化、いわゆる広域化についてです。国保の広域化には3つの大きな問題があると考えます。第1に、国保財政が今以上に悪化するということです。国保を都道府県単位で運営させることによって、現在自治体が行っている一般会計からの繰り入れをやめさせ、純粋に支払われた国保税の範囲で提供される医療サービスに押し込めることがねらわれています。つまり、負担と給付を一体化させることで、国保税の値上がりが嫌なら医療サービスを我慢しろ、お金があるなら保険外でサービスを使えとなってしまいます。間違いなく、今でも高い国保税がさらに過酷なものになります。

 第2に、国の責任を放棄することにつながります。この間、国庫負担の削減で、都道府県を中心に国保における地方負担は増加の一途をたどっています。社会保障制度である国保は、ナショナルミニマムを維持するという点で、国が制度設計や財政運営に責任を持つべきで、都道府県単位化はその責任の転嫁になります。

 第3に、事業運営の問題です。現在の市町村国保は、被保険者が参加する運営協議会と議会の議論を通じて地域の実情に合わせた事業運営方針を決めることができます。これが都道府県単位になれば、個々の地域の実情や住民、被保険者の声を踏まえた対応は難しくなります。住民の運動でかち取ってきた法定減免を超えた各市町村の独自減免は根こそぎなくなってしまいます。2012年8月に成立した社会保障制度改革推進法第6条では、これまで繰り返し確認されてきた国民皆保険の堅持という言葉は消えました。結局、国保の広域化は社会保障制度の変質、崩壊につながります。広域化では国保が抱える構造的な問題は解決しません。解決するどころか国保崩壊への道となります。広域化ではなく、国庫支出をふやすなど国に対して責任を果たさせるようさらに強く求めるべきだと考えますが、見解を伺います。

 最後に、国保制度は、国保法第1条にあるように、社会保障及び国民保健の向上に寄与するためのものです。日本共産党は、住民の命と健康を守るという国保制度本来の機能を十分発揮させていくために今後も力を尽くしてまいります。

 次に、大きな2点目に介護保険制度についてです。2015年度は3年に一度の介護保険制度改定の年であり、次期の第6期介護保険事業計画の策定が進められています。安倍自公政権によって介護保険制度の大幅な改悪が強行されました。その要点を確認しておきたいと思います。

 第1に、要支援1・2の訪問介護と通所介護を保険給付対象から外し、2017年までに段階的に地域支援事業に移行することです。これはサービスを質・量ともに低下させることになります。

 第2に、特養ホームへの入所は原則要介護3以上に限定することです。多数の人から特養ホームへの入所の権利を奪いながら、それにかわる施設計画もありません。

 第3に、所得によって2015年8月から介護保険利用料を2割に引き上げることです。日本共産党の小池 晃参議院議員の国会質問で、2割負担に引き上げる根拠が完全に崩れて、田村厚生労働大臣がその根拠を撤回したにもかかわらず、2割負担にするという結論だけを残して国民に押しつけました。このようなやり方は論外と言わざるを得ません。

 第4に、低所得者でも預貯金などがあれば施設の居住費、給付費を補足給付しないということです。これらは介護保険制度が始まって以来の大改悪であり、介護保険制度の根幹を脅かすものです。参議院で22項目にもわたる付帯決議が上がったのは、制度の欠陥を示すものにほかなりません。

 安倍政権の骨太の方針2014で、小泉政権時代の社会保障抑制路線が完全復活しつつあり、社会保障のためといって消費税を増税したにもかかわらず、社会保障拡充に回さず法人税減税に走り出し、その財源を社会保障の削減で賄おうとしております。これほど身勝手で無責任な政治は許されません。この道は、かつて国民から厳しい批判を浴び自公政権の崩壊をもたらした道です。こうした政治に未来はないということを強調したいと思います。その上で、介護保険制度について、以下、質問を行います。

 1点目の質問です。市内の有料老人ホームは7月2日現在で11施設ありまして、定員は674名で、高齢者100人当たりの定員数は2.22名であり、多摩26市中3位となっています。武蔵野市の人口は多摩26市中12位ですが、有料老人ホームの数は6位になっています。これは他の自治体よりも比較的有料老人ホームが多いということを意味しています。以上を踏まえて、以下、質問を行います。

 1つ目、有料老人ホームが市内に建設される際の基準や制限について、どのような仕組みになっているかを伺います。

 2つ目、経済力のある人しか入れないような有料老人ホームがふえていったとしても、全体のバランスの面から見て需要に十分にこたえることにならないのではないかと考えますが、見解を伺います。

 2つ目の質問です。武蔵野市は、特養老人ホームの高齢者100人当たりの入所者数は1.97人であり、多摩26市中4位です。これは他の自治体にある施設に入所している方も含めた数字で2013年度のものです。しかし、市内の介護施設の定員の状況を見ると、特養老人ホームの定員は322名で、高齢者100人当たり1.06人であり、多摩26市中22位。老人保健施設は定員168名で、高齢者100人当たり0.55人であり、同22位。この2つの施設の合計は定員490名で高齢者100人当たり1.62人であり、同25位となっています。これはことし4月1日現在の数字です。以上を踏まえて、以下、質問を行います。

 1つ目、これらの数字は、市内の特養老人ホームや老人保健施設が比較的少ないということを意味しています。この点についてどのような認識をお持ちかを伺います。

 2つ目、昨年11月22日の私の代表質問で、市長は、必要な施設はぜひ設けていく方向で議論をしていけたらと答弁しています。次期介護保険事業計画で介護施設、これは特養ホームだけではなくてほかの施設も含めてということで考えますが、これらの整備についてどのような議論が行われているか、また行われる方向か、検討状況を伺います。

 3点目は介護保険料についてです。武蔵野市では65歳以上の市民の方、これは第1号被保険者と言われておりますが、その介護保険料が15段階に細分化されています。例えば第1段階は、生活保護受給者等または老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税の方で、介護保険料は年額3万1,000円。一番介護保険料が高い第15段階は、本人が住民税課税者で合計所得金額が2,000万円以上の方で、年額15万4,800円となっています。次期の介護保険料検討の際には、負担能力に応じて負担するという応能負担のやり方をさらに拡充する必要があるという観点から、以下、質問を行います。

 1つ目、暮らしが大変な中、応能負担を強めることで低所得者層の介護保険料を軽減することを求めますが、見解を伺います。

 2つ目、介護給付費等準備基金は、2012年度決算段階で3億7,191万2,000円となっています。これを2013年度末第1号被保険者数、つまり65歳以上の市民の数の3万321人で割りますと基金残高の1人当たりの金額は1万2,266円となります。つまり単純計算ではありますが、基金を活用すると1人当たりの介護保険料を1万2,266円減らせることになります。この介護給付費等準備基金を活用するなどして介護保険料を値上げしないことを求めますが、見解を伺います。

 4点目は、介護保険利用料の5%助成制度についてです。これは市民税非課税世帯を対象に訪問介護などに対してサービスの利用者負担額10%のうち5%分を市が助成するものです。ただ、武蔵野市介護保険利用者負担額助成事業要綱では、この5%助成の制度は今年度で終了することになっています。この制度は、2012年度の数字では969人が利用し、この年の延べ支給件数は8,883件となっており、実績のある制度です。今後も制度が継続されることが望まれます。以上を踏まえて、以下、質問を行います。

 1つ目、介護利用料5%助成制度を終了させず、今後も継続することを求めますが、見解を伺います。

 2つ目、低所得者などに対する利用料助成のサービスの対象の拡大や収入要件を緩和することを求めますが、見解を伺います。

 以上、大きく2点について市長の答弁を求めまして、私の壇上からの質問を終わります。

◯市 長(邑上守正君)  それでは、橋本しげき議員の一般質問にお答えしてまいります。

 国民健康保険税と介護保険制度についてということで、まずは国民健康保険税、修飾がついておりますが、高過ぎる国民健康保険税の軽減についてということでございますが、武蔵野市における所得階層別の国保加入世帯数とその構成率ということでございますが、平成26年度当初賦課ベースで所得200万円未満の国保加入世帯数は1万7,703世帯で、国保加入世帯数の72.01%ということでございますので、先ほど壇上で東京都の数字をお話しいただきましたけれども、それよりも高い率という認識でございます。

 2番目で、2012年度決算で見ると、市税の徴収率は94.7%であるのに対し、国保税の徴収率は71.4%、これは国保税が負担能力を超えて高過ぎて払えないという事態になっていることではないかということでございますが、なかなかこれだけでそうだと言いがたいのではないかなというふうに思います。例えば、給与などから、個人市民税では特別徴収が67.5%でございますし、また国保税は特別徴収というのが6.4%でございますので、それからしてもやはり徴収率の差というのはついてしまうのではないかなというふうにも思います。また、現年度に限ってみれば、現年度の数字は25年度の徴収率は91.78%というふうになっておりますので、確かに、払えない方に対しては、高過ぎるから払えないとお答えになる方もいらっしゃると思いますけれども、この数字だけからは負担能力を超えて高過ぎるというのはなかなか検証できないのではないかなというふうに思っております。

 次に、資格証の問題でございます。資格証を発行する際、個々の被保険者の状況をどれだけ把握するのか、どのような基準で発行しているのかということでございますが、滞納者の状況把握に関しては、御本人からの口頭での申し出や、収支を明らかにする資料の提示のほか、必要に応じて財産調査などを行うなどして、その実情把握に努めているところでございます。資格証の交付に当たっては、これらに加えて、事前に弁明書の提出も求めているところでございます。また、資格証の交付の基準に関しては、取扱要綱により対象世帯主を定めておりますが、そこまでに至る経緯も十分にしんしゃくをして丁寧に運用しているところでございます。

 次に、資格証の発行は受診抑制にもつながる、発行をやめるべきではないかということでございますが、国民健康保険法では、特別の事情がなく一定期間を超えて国保税を滞納している場合には被保険者証を返還することが定められております。納税者間の負担の公平性などの観点から、必要があれば資格証の交付も行っておるところでございます。なお、18歳までの未成年や、障害者総合支援法に基づく自立支援医療費など一定の医療給付を受けている場合は、当然のことながら交付対象から除外をしているところでございます。

 次に4点目で、保険税の減免規定の拡充、そして5点目で、医療費の窓口負担の減免措置の拡充を求めるがということでございますが、あわせてお答え申し上げます。1つは、平成26年度から低所得者への保険税提言措置の対象を拡充しておるところでございます。一方で、高齢化と医療の高度化によりまして医療費の増加も続いているところでございます。なかなか医療費が現状では減少する見込みがない状況でもございます。保険加入者による保険税と国・都からの負担金とで、この増加し続ける医療給付を賄う必要がございますが、現在の保険税収入だけでは賄うことができず、不足分は一般会計からの多額の繰り入れを余儀なくされている状況が続いております。いつまでも安心して医療が受けられる制度を維持していくためには、所得に応じた保険税の負担を求める必要がございまして、国民健康保険の財政状況をかんがみますと、新たな軽減制度につきましては現時点では考えにくい状況でございます。また、医療費の減免についても、保険給付費が増加することになりますので、受益者負担の観点からも、現時点ではなかなか減免措置の拡充については厳しいのではないかなというふうに考えております。

 なお、低所得者への保険税軽減措置の対象の拡充により、夫婦と子ども1人の3人世帯の場合の年収で見ると、均等割について5割軽減が147万円から178万円以下に、2割軽減が223万円以下から260万円以下で適用となっているところでございます。障害者に対しましては、福祉制度により医療費の一部助成、各種福祉手当が支給される制度がございます。また、子どもに対しましては、義務教育修了まで医療費助成制度を行っているところでございます。

 次に6番目、国保の都道府県単位化は大きな課題ではないかということで、むしろ広域化ではなく国庫支出をふやすなど国に対して責任を果たさせるよう強く求めるべきではないかというお話でございますが、国に対しては、当然のことながら国庫支出をふやしてほしいという要望はずっと続けているところでございますので、今後ともそのような要望を続けていきたいというふうに思っております。

 しかしながら、現行の制度におきまして生じている国保が抱える財政的、構造的な問題としまして、例えば赤字補てんの法定外繰り入れ、あるいは小規模保険者のあり方、小規模保険者というのは被保険者数が1,000人以下の保険者をいいますけれども、大変保険料も高額になりがちだといったようなこともございまして、そのような課題を解決していくためには、運営主体を都道府県単位として広域化を図り運営していくことが望ましいと考えているところでございます。現在、国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議においても、財政上の構造問題の解決に向けた方向性として、保険者支援制度の拡充の早期・確実な実施等、保険料負担の軽減、伸びの抑制についても検討されているところでございます。全国市長会では重点提言として、国保の財政上の構造問題を解消するため、消費税引き上げによる保険者への財政支援の拡充1,700億円を早急かつ確実に実施すること、及びさらなる公費投入により財政基盤強化を図るため、後期高齢者支援金への全面総報酬割を導入することにより生ずる財源を国保の支援に優先的に活用することを国に要請しているところでございます。全国市長会でも、持続可能な国民健康保険制度の確立に関する決議を行うなど、国に対して要請をしているところでございます。今後も全国市長会、東京都市長会などを通じて必要な要望を行っていきたいというふうに考えています。

 大きなお尋ねの2点目、介護保険制度についてでございますが、1点目の有料老人ホームを市内に建設する際の基準や制限についてということでございますが、有料老人ホームを設置する場合は、これは東京都への設置届け出が必要でございます。東京都は、有料老人ホーム設置運用指導指針で、計画段階で地元区市町村と十分な調整を図ることとしておるところでございます。指針に基づき、市では事業者と事前協議を行い、調整を行っておりますけれども、それをもって建設計画を制限することはできない状況となっております。また、有料老人ホームの類型には介護つきと住宅型がございますが、介護つきの場合には、老人福祉法の規定とは別に、東京都から介護保険法による特定施設入居者生活介護の指定を受ける必要がございます。この特定施設入居者生活介護の指定は総量規制を設けているところでございまして、総量規制の中で東京都の指定を受けるためには、都が定めた老人福祉圏域、当市で申しますと北多摩南部老人福祉圏域、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、狛江市が圏域に当たるところでございますが、その中での総量、整備可能定員数というのが定められてございまして、その枠があるなしでどうするかということで、東京都のほうで判断をすることとなるところでございます。

 次に、経済力のある人しか入れないような有料老人ホームがふえていったとしても需要に十分にこたえることにならないのではないかというお尋ねでございますが、一般的に有料老人ホームの増加は、介護保険料の上昇にも影響を与えることとなっておるところでございます。整備可能定員数に枠がない場合、事業者からの問い合わせには市としては建設不能と答えているところでございます。ただし、最終的には都の判断にもよるということでございますので、市による抑制には限界があるところでございます。

 次の御質問で、これは市内に特養老人ホームや老人保健施設が比較的少ないということを意味している、つまり特養老人ホームや老健が少ないという認識はということでございますが、まとまった土地の確保が市内では大変困難でございますので、市外に特別養護老人ホームを整備するか、あるいは定員が30人、40人の小規模の特養しか以前では整備をしておりませんでした。しかし近年、一定の広さの土地が出現したために、定員72名の特養、そして定員100名の特養を建設し、比較的規模の大きい特養が整備されたということになってきたところでございます。現在市内にある特養6施設の定員は322名、老健3施設の定員は168名、措置制度時代の整備に加えて、介護保険制度導入後は保険料とのバランスを考慮して計画的に整備をしてきたというふうに考えているところでございます。市内の施設が少ないという御指摘もあろうかもしれませんが、保険料としてのバランスで現状になっているという認識をしているところでございます。

 次期介護保険事業計画で介護施設の整備についてどのような議論が行われているかということでございますが、現在、検討いただいている内容としましては、本市の介護保険サービス水準は、在宅サービス、施設サービスとも給付月額が全国平均を上回り、在宅重視であり、かつ施設整備も充実しているという特徴がある。今後の中重度の要介護者の増加を見据え、中重度の要介護状態になっても在宅生活を継続できるサービスを優先していく必要があるということ、そしてまた、特養を初め施設整備を行うと、保険料の上昇は避けられないところでございますが、今後、複数の施設整備パターンでの保険料推計を示し、サービス水準と保険料のバランスを踏まえ、検討をしていただく予定としておるところでございます。

 次に、低所得者の介護保険料を軽減することについてのお尋ねでございますが、介護保険制度改正において低所得者の保険料の軽減割合が拡大されることとなっております。生活保護受給者、市民税非課税世帯については、現行制度より保険料の軽減が強化されることとなります。今後、策定委員会における議論、パブリックコメントなどを踏まえ、議会で介護保険料を決定していただくことになる予定でございます。

 次に、介護給付費等準備基金を活用するなどして介護保険料を値上げしないことという御意見でございますが、第五期介護保険事業計画で保険料軽減のため基金を取り崩しておるために、第六期の保険料に充当できる介護給付費等準備基金の繰り越しは多く見込めない状況でございます。一方、高齢者人口の増加に伴う要介護認定率の上昇、介護報酬改定、地域区分単価の引き上げなど介護給付費の増加が避けられない状況となっております。これらの状況を示し、次期の介護保険料について、現在、委員会で議論をいただいているところでございますが、最終的には議会で決定していただくことになろうかというふうに考えております。

 次に、5%助成制度の継続ということでございますが、来年につきましては先ほど壇上で御案内をいただいたとおりでございます。さまざまな評価もいただいているところでございますが、基本的には、現在、策定委員会で検討いただいておりますので、その検討を待ちたいというふうに考えておるところでございます。

 最後に、低所得者などに対する利用料助成のサービス対象の拡大や収入要件を緩和することということでございますが、介護保険制度改正によりまして、一定以上の所得者については利用者負担が2割とされるところでございます。2割負担導入との整合性や助成の範囲、助成対象サービス種別などを高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画策定委員会で議論をいただき、パブコメを経て議会で決定をしていただくことになろうかというふうに考えているところでございます。

◯24番(橋本しげき君)  再質問ですけれども、まず国保についてです。年収200万円以下のところが72.01%というのは非常に多いと思いました。やはり低所得者層が多いというのが国保の特徴だということが、武蔵野市でもそういう傾向だというふうに思います。先ほどの市長の答弁で、国保税が負担能力を超えて高過ぎて払えないのではないかと私が質問した徴収率との関係なのですが、それだけではわからないというような答弁だったのですけれども、それだけではわからないというふうにおっしゃったけれども、では、そもそも国保というのがやはり低所得者層が多く入っている仕組みであり、まあそれは今出ているわけですが、負担がやはりそういう方々に重くのしかかっているのではないかという認識はお持ちなのかということについてはお聞きをしておきたいと思うのです。徴収率との関係でわからないのであれば、国保のそもそもとして、やはりそういう高い税金になっているのではないかという、基本的な認識についてどうなのかということはお聞きしておきたいので、それをお答えいただきたいと思います。

 それから、資格証についてなのですが、私は26市のうち9市が資格証を出していないという数字を言ったのですが、やはり資格証については、私は先ほど発行はやめるようにと言ったのですが、少なくともその発行は極めて抑制的でなければならないと思うのです。先ほど市長の答弁で、いろいろこういう経緯でもってという発行に至る過程についてはありましたけれども、極めて抑制的でなければならないということについて、本当は発行しないほうがいいのだけれども、非常に慎重でなければならないという点についてもう一度確認をしておきたいと思います。

 それから、資格証に関連して短期証というのがありますけれども、短期証は有効期限が6カ月になっているのです、普通の保険証は2年間ですけれども。この武蔵野市国民健康保険短期被保険者証交付要綱というのを見ましたら、そこの第2条にこう書いてあるわけです。短期被保険者証の有効期限は6カ月間とする。ただし特に市長が必要と認めた場合にはその期限を1年間とすることができるとあって、6カ月間が基本だよと書いてあるわけです。ところが私、要綱を見比べて非常に衝撃を受けたのですが、これは2011年10月から今の要綱になっていますよね。その前の要綱はどういう表現だったかというと、短期被保険者証の有効期限は1年間とする、ただし特に市長が必要と認めた場合にはその期限を6カ月間とすることができると、前はなっていたわけです。つまり前は短期証の期限は1年が基本で、市長が特に認めたら6カ月に短縮できると。今の要綱は6カ月が基本で、特に市長が認めたときに1年間に延ばせると。これは全く逆になったわけです。これは何でこういうふうになったのでしょうか。私は、滞納されている方に短期証というのは発行になるわけですが、基本的に、どういう状況で滞納になっているかというのは丁寧に見る必要があるというのはもちろん前提としてあるのですけれども、そういう市民の権利を制限していく方向なわけです、基本1年間だったのを基本6カ月としたわけだから。そういう市民の権利を狭めていく方向を当たり前のほうにしてしまったというのが、何でそうなったのかというのは、私は、もし答えられれば今お答えになっていただきたいし、答えられなければまた別の機会に聞きますけれども、市長はこのあたりどういうふうにお考えなのかというのをお聞きしておきたいと思います。

 それから、減免制度ですけれども、国保の減免と医療費の窓口負担の減免と両方言ったのですが、これはなかなか厳しいという御答弁だったと思うのですけれども、ほかの自治体では、大変な中でもいろいろ頑張ってやっているところも実はあります。私は、子どもや障害者が被保険者の場合の均等割を減免するということについてどうかという先ほど質問をやりましたけれども、子どもについては医療費の助成をやっている、それから障害者については福祉制度がほかにあるという答弁だったのですけれども、こういうところの均等割額を減免している自治体というのは実際にほかのところを調べるとあるわけです。それから、これは前にも言ったのですが、2010年の4月から国保税の賦課方式が市民税所得割方式から旧ただし書き方式に変わったときに、下がった方が多かったのだけれども、大幅に上がった方がいたと。いろいろな障害者の控除とかがなくなって急に上がった方がいたと。そういう方の対応策をというふうにその当時質問しましたけれども、なかなかそれはされなかったと。そういうのも含めて、やはり減免措置というのを私は検討して拡充していただきたいということは、なかなかすぐには答弁されないかもしれないけれども、これはぜひ他の自治体も参考にしていただきたいと思うのです。

 それから医療費の窓口負担についても、旭川市の例で、これは旭川市のホームページを見たら出ているので、後でごらんいただきたいのですが、対象世帯というのを市独自で減免で広げているというのがありますから、ここら辺もぜひ参考にしていただきたいと思うので、まあすぐにできるというふうにならないかもしれないが、研究していただきたいと思いますけれども、それについてお答えをいただきたいと思います。

 それから、介護保険料なのですが、今度の次の六期の介護保険事業計画で介護保険料がどうなるかというのは一つの大きな焦点になると思うのです。私は応能負担を強めることで低所得者層の介護保険料の軽減をというふうにさっき言いました。それは軽減されるというような答弁もあったのですけれども、やはり全体として格差是正という観点からも、その応能負担を徹底することは非常に大事だと思っているので、その検討もぜひ進めていただきたいということ、それにお答えください。

 それから5%助成制度については、今の検討を待ちたいという話なのですけれども、市長としてはどういう考えなのかというのはやはり聞きたいのです。以上、お答えください。

◯市 長(邑上守正君)  それでは、再質問についてお答えしてまいります。

 まず、国保税が高いか低いか、負担になっていないかということでございますけれども、一般的な健康保険から比べると制度が違うものですから、それに比べれば高いという感じになるかもしれませんが、したがって、いろいろな保険制度があること自体が実はいろいろ課題があるのではないかなということから、そういう保険の一体化というのは、究極の話、考えていくべきではないかなというふうに思っておりますし、その一歩として、先ほどは否定をされましたけれども、国保の広域化というのもその一つの方向性の一歩ではないかなというふうに思っております。

 それから、資格証の発行については、今後も慎重に対応してまいるとお約束したいなというふうに思っています。

 それから、短期証につきましては、これはできるだけ相談機会を設けておりますので、期間が短いだけで効力には変わりがないということでございますので、そのような御理解をいただきたいというふうに思っています。

 また、徴収方法のいろいろな変更があって影響を及ぼしたような方もいらっしゃって、その救済策ということもいろいろ検討した経過もございますけれども、今後も制度の変更などに伴って、今までの状況と違う、過剰な影響があるような場合については、これはぜひ影響緩和のための工夫も研究していきたいというふうに思っております。

 介護保険料につきましては、まさに議論中でございますが、基本的には、応能負担もより求めていかざるを得ないのではないかなというふうに思っております。5%助成というのは、基本的には制度として3年限りの制度ということでございますので、これから来期に向けて、ほかのいろいろな制度も含めて全体を通じてその制度の継続の可能性については委員会で議論いただいていますので、その委員会での議論の結果を踏まえていきたいというふうに思っています。

◯24番(橋本しげき君)  国保の短期証の有効期限についてなのですけれども、前は基本が1年間だったのが今は基本が6カ月になっているというのは、私は少なくとももとに戻していただきたいと思うのです。これをどんどん縮めていってしまう方向になっていくと、これは大変なことになると思う。この間、ほかの自治体の話を聞いて私はびっくりしたのですけれども、短期証の有効期限が2週間だというところがあると聞いたのです。どうなっているのだと思いました。とにかく、そうやって権利を縮めるようなことではなくて、もっと実態に即してやっていただきたいということを要望しておきます。
                                 
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