1988年度 武蔵野市予算編成に対する要求書
日本共産党武蔵野市議団
竹下新内閣が11月6日発足した。竹下内閣の誕生のいきさつをみると、この内閣が中曽根前内閣の政治路線の忠実な継承者であることは明らかです。
そのことはこのたび大蔵省が骨格を定めた63年度政府予算案に如実に示されています。
竹下新内閣は中曽根前内閣が62年度予算で「GNP・1%枠」を突破させた軍事費のいっそうの増大でアメリカとの軍事協力を深め、内政では大企業のための「民活」事業向け無利子融資をふくむ公共事業の拡大などを盛り込もうとしています。
その一方で国民生活に密着した予算は削る方針で、国民健康保険制度の抜本改悪などを予定しており、自治体に財政負担を一方的におしつける内容になっています。
一般会計予算の規模は、62年度当初予算比4.7%前後の伸びで56兆6400億円程度とされています。又、内政上の最大課題として、公約違反の大型間接税の導入を63年秋には実現させようとしています。
政府予算は軍拡と大企業財界奉仕のために国民負担をいっそう増大させるもので、それは又、地方自治体の犠牲を強いるものになっています。
四全総は、東京への政治、経済の集中を強め、政府みずから認めているように異常な土地暴騰をもたらし、勤労者は住宅を持つことが絶望的となっています。
東京都政も政府の政策に追随して東京への集中化を進めており、都心での地上げ底地買いによるビル建設は住宅地にも土地の高騰をもたらし、63年の固定資産の評価替えによる増税や、相続税の増大は、市民の生活を根本からおびやかすものになっています。
国、都の動向をみるとき、その施策に市民生活の安定を期待することは出来ず、市民は市政にくらしを守る施策の実現を切望し、国政、都政を真に国民本位の政治にするための自治体としての国・都への働きかけを期待しています。
武蔵野市の61年度決算は一般会計で歳入約377億円、歳出約351億円で、その差引きは約26憶円と60年度の二倍以上の繰越額(黒字)を計上しています。
この内容は、昨年来のアメリカ経済の二つの赤字による異常な円高ドル安による、円高不況で影響を受けた自治体も多くある中で、市民の高い担税力に支えられた武蔵野市の安定した財政構造を改めて示したものです。本年においてもその傾向は引続いており、62年度決算でも多額の黒字が予想されています。
恵まれた財政事情にあって市長の市政運営は市民の切望する福祉、教育、くらしを守る施策に財源を充当することにより、50億円の総合体育館、企業参入の保健センター、吉祥寺駅前広場の祝賀行事等の無駄使いとも言える財政運営をおこなっています。又、必要以上の基金の積立てがおこなわれています。
63年度予算編成にあたっては、憲法と地方自治の原点に立ち、市民の福祉、くらし、そしてなによりも平和をめざす市政の実硯をはからなければなりません。
議会意思を尊重し、都市計画税税率0.2への減税をはじめとして、市民の請願、陳情を議会で採択した諸事業の実現を行なうことと、市民本位の施策を要求するものです。
[総務関係]
1)米ソ首脳会談によるINF全廃条約の調印は核兵器廃絶の第一歩である。核兵器廃絶、平和推進のため、平和予算一般会計(歳出)の0.1%を計上する。
2)都市計画税の税率を100分の0.2に引下げ、減税を行う。
3)歴史的経過を尊重して、地区労事務所問題は、誠実な話合いを行って円満な解決をはかること。
4)公共施設等に非核都市宣言をアピールする工夫を行う。
5)原水爆禁止運動に対する助成を拡充する。
6)子どもたちに広島、長崎、沖縄訪問の機会をつくること。平和の副読本も検討する。
7)情報公開条例の制定。
8)行政資料コーナーの充実。
9)個人情報保護条例の前進的改正を促進させる。
10)出張所における昼休み窓口の開設.境南町に出張所の設置。
11)地区労のスポーツ祭典の補助金を復活すること。
12)市庁舎内の会議室を日曜日も使えるようにすること。
13)市民が行政を監視するオンプスマン制度を設けること。
14)市への納金を五時まで延長すること。
15)市役所を結ぶ市内循環パスの運行。
16)市民用自転車置場に屋根をつける。
17)市パスを復活し、直営事養を基本として事業を継続し、借上げパスの利用日数を増やす。
18)固定資産税の軽減に努力し具体化すること。
19)婦人懇談会の答申が出された。この実施項目を誠実に実行するよう要求する。
20)円高差益を福祉、教育等の施施の事業を通し市民に還元する。
[商工農関係]
1)消費行政と結びついた路線商店の振興策を促進させるため経営診断に対する助成を行う。
2)年末等のかけ込み融資に道を開き、借用保証料を全額市で負担。
3)文化事業団体に対する融資の斡旋を行う。
4)地元中小業者優先で仕事の発注、商品の購入を行うこと。
5)市民農園の拡大。
6)働く市民のために保育所、学童保育は年末31日迄行う。
7)パートタイマーの退職金制度をつくること。
[土木、環境、清掃関係]
1)おからの処理料金に減免措置を行うこと。
2)放置自転車の整理。置場を増やして整理を強化する。また、地下駐輪場の建設を行う。
3)外環道路計画反対を堅持し、ジャビック等のプロジェクトによる建設阻止に全力をあげること。
4)国鉄高架複々線化にともない、武蔵境中央線ホームを残すこと、また、西口改札口を設けること。
5)境北口再開発について、環境を守り、住民合意を尊重し民主的に実施。再開発ビルには住民要求をいれて建設せよ。西部地区を文教地区に指定するよう検討すること。
6)農林省倉庫跡を確保し、公共施設計画をすすめる。
7)エコービルの環境悪化を防。本町・中町地区など遊び場の少い地区に遊び場の設置。
8)吉祥寺南口地域にも、環境浄化特別地区の指定を行うこと。本町地区環境浄化対策の予算の増額。
9)吉祥寺南口地域の再開発促進、七井橋通りをインターブロックキング舗装せよ。
10)西久保児童公園(三丁目)を残し、十三号線は、まちづくり協議会の結果が出るまで凍結すること。
11)玉川千川上水の歴史的自然環境保全のため、自然保護条例をつくる。
12)都道一三四号線によりグリンパーク遊歩道がなくなる。建設中止を都に働きかけること。
13)緑町・桜堤団地の建て替え問題に関して
@建て替えの計画状況を関係居住者に知らせてほしい。
A居住者の考えや実態を充分に把握してほしい。
B建て替え計画にあたっては、居住者との話し合いを優先するよう指導してほしい。
C現居住者(武蔵野市民でもある)が建て替えによりひとりたりとても泣く人を出さないよう、方策を考えてほしい。
14)境、五宿踏切の改善について
境側から境南町側に渡る右側部分が金網を張った空地になっているので拡幅をして、自転車と人が安全に渡れるようにしてほしい。
15)武蔵野公会堂を改築して、総合市民施投(体育施設を含む)を建設すること。
16)北町保育園周辺の浸水対策を早急にはかること。
17)御殿山国鉄南公園を存続させること。
[福祉と医療関係]
福祉と医療をめぐる情勢は、本年1月1日から「老人保健法」か再改悪され、老人医療費の自己負担増が実施された。また円高による影響で古紙回収の売却収益で運営資金を生み山している福祉作業所などは、昨年にひきつづく古紙の安価で、その運営にあらたな障害をつくった。弱者にとっては受難の年であった。市長は、市民の切実な要求にもっと耳を傾け、その実現にこそ努力すべきである。
1)高齢者に対する緊急入院助成制度、トータルケアーサービス制度を利用し易いように改書する。そして入院時における自己負担軽減に入院見舞金制度等を検討する。
2)日赤をはじめ、市内の病院に、市の委託ベッドを設置し、老人病院の要求にこたえること。
3)市内に特別養護老人ホームやデイケア、デイホスピタル施設を増やす。
4)高齢者や障書者の住宅を確保すること。民間マンション、民間アパート等を借り上げ、その実現をはかる他、都営住宅、公営住宅の建て替えに際し特に介護付住宅を併設するよう関係機関に働きかけること。
5)民間のデイホスピタル活動に援助を行うこと。
6)食事サービス事業を毎日実施し、さらに対象を増やせるようサービスを拡充する。
7)市内三駅にエスカレーター設置を働きかける。特に三鷹駅はJRになって内装を変えたがエスカレーターこそ設置すべきである。
8)心身障書者の生活寮を市内に建設する。そして無認可の福祉作業所に、認可のための援助を含め、助成を拡充する。
9)心身障書者の学校卒業後の対策を具体化すること。青年学級などを含め検討する。また、親の会などを含め自主的なグループ活動に援助を行う。
10)障害者の就労対策を強化する他障書者の店舗等が出店出来るよう援助。
11)手話通訳者派遁事業を拡充する。また聴覚障書者にファクシミリを増やす。視力障害者への歩行訓練に援助を行う。
12)難病相談や、検診事業を拡充することをはじめ対象疾病を拡大する。
13)高齢者、障害者、難病者の住宅施設改善費助成を大幅に増やす。
14)障害児保育を全保育所で実施する。またアレルギーの子供の対策も検討。
15)保育ママを増員する他、ベビーシッター制度も検討する。また公立保育所においても緊急一時保育を行うこと。また産休明け保育も公立で実施する。
16)病児保育、夜間保育の設置を行う。
17)無認可保育所の助成拡充と認可化実現に市の援助を行う。
18)私立保育国に対する助成の拡充(職員の職業病検診、ギョウ虫検査費用の助成、乳児検診を公立並みに月2回出来るようにする。またアスベスト調査の費用助成等)。
19)4小、井の頭小地区の学童保育は、単独施設をつくること。
20)学童保育は希望者全員入所出来るようにする。
21)「かがやけ太陽クラブ」の施設の確保と運営にかかわる賓用に助成してください。
22)児童館建設の促進、当面、中央、東部に積極的に追求する。
23)乳幼児医療費助成制度を実施し、当面0才児医療費を無料にする。
24)成人検診の年令引き下げを行うこと。(当面、25才、30才、35才の節目)。また成人検診に大腸ガン検診,胃の透視を検査項目に入れること。
25)私立幼稚園類似施設へ私立幼稚園並みの助成、拡充を行うこと。
26)保育薗について
@保育園児の定数の増員、特に0歳児を現行の6人から9人とすること。それに見合う保母の増員(+1名)を行うこと。
A保育料の大幅値下げ。
B産育休の代替保母を正規の職員を充てること.
C特例保育時間の延長、特例基準(資格)の拡大を行うこと。
Dお泊り保育を市主催で行うこと。
27)保育園の整備について
@ホールに冷房の設備をすること。
A0歳児室にお尻洗い場を設置すること。
B0歳児室に冷暖房設備をすること。
C保育室の混合栓を温度調整のできるものにすること。
[教育関係]
去る11月末に、教育課程審議会が公表した「審議会のまとめ」が、いま市民のあいだに大きな波紋を広げている。このまとめは学校教育について戦後最大の抜本的な改正を提起している。その内容は、憲法、教育基本法の民主教育の理念と制度を抜本的に崩すものであり、国民の基本的権利である教育権に対する侵害であるとさえ云われている。政府が、教育の反動化を、また一歩大きく踏み出そうとしているときに、教育委員会が独立した機関としての任務を目指し、教育基本法をふまえ、すべての児童が、平和で、民主的な日本社会を建設する自主的、自覚的な主権者に育てることを中心的な柱とする民主的な教育を実践するよう強調するものである。
1)小学校において、音楽、家庭科、理科、図工の四教科は各学校に専科の教師を配置出来るよう必要な措置をする。
2)学校図書室においても専門職員である司書の配置を行うよう検討。
3)就学援助費助成制度基準を、生活保護世帯基準の1.8倍にもどすこと。
4)学校施設開放の検討と、学校施設を政党の政治活動にも利用出来るよう従来どおり民主的運営を保障すること。
5)中学校給食の実施と、小学校の給食日数を増やすこと。
6)中央図書館を改築し、中央館にふさわしい内容にすること。図書購入費を増額すること。また、中央館においても視聴覚ライブラリーを設置する。また各図書館とも正規職員としての司書を増員すること。図書館にも市政などの行政資料コーナーを設け市政に対する情報を公開すること。
7)教育委員会の会議録が市民に公開されていないので、実施すること。
8)公会堂を市民会館と同じように、社会教育施設として関係団体の使用料を減免すること。
9)郷土資料館、美術館建設については前進的検討を行う。
10)東部、西部地域に温水プールをつくること。(市民会館の体育館改築に際し、温水プール設置を検討すること。)
11)市営ならびに学校のテニスコートが冬期も利用出来るよう改善する。
12)市営スポーツ施設に夜間照明をつけること。
13)むさしの子どもまつりに、市と教育委員会の援助を積極的に行う。
14)温水プールの建設にあたっては水質の良いプールを設計すること。
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